香木の贋作と本物の見分け方
公開日 2024/03/12
更新日 2024/12/17
香木は見分け方が難しいため、偽物(贋作)も多く出回っています。なかには精巧に作りこまれたものや、保管箱の中身をすり替えたものまでさまざまです。
本記事では、偽物の香木を購入しないように、本物と偽物の見分け方を紹介します。
人気の香木である「沈香」と「伽羅」それぞれの見分け方も紹介しているので、香木の購入を検討している人はぜひご参考ください。
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目次
香木とは、香りがする木のことで、日本では主に以下の3種類が人気です。
香木は寺院で焚かれていたり仏具の原料として利用されていたりすることが多いため、お寺のような香りと表現する人もいます。
香りは「甘い」「苦い」「辛い」「塩辛い」「酸っぱい」の五味で表現されることが多く、伽羅はこのすべての香りが混ざったような香りをしています。
木が外部から刺激を受けたときに、その部分を守るようにして樹液がでます。この樹液に香り成分が含まれており、樹液によって固められた部分が香木となります。
沈香と伽羅は同じ種類の木からできており、樹液の濃度や質が良質なものを伽羅といいます。伽羅はベトナムのわずかな地域でしか採取されません。
白檀は別の香木で、樹木の中心部を取り除き、20年ほど熟成させることで優美な香りを放つようになります。
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巧妙に作りこまれた偽物を見分けるには、実際に香木を焚いて香りを確かめる必要があります。
これは、本物の香木の香りを嗅いだことがあるプロの鑑定士でしか判断できません。
しかし、偽物のなかにも粗悪品があり、見た目でわかるようなものもあります。
偽物と本物の見分け方は以下を参考にしてください。
本物 | 偽物 | |
木目 | 美しい木目・独特の年輪 | 不自然・汚い |
色 | 艶のある黒すぎない自然な色 | 色が濃い・色が均一すぎる |
断面 | 表面と同じような色合い | 中が空洞・中と外の色がはっきりと分かれている |
香り(焚く前) | ほぼしない・ほのかに香る | 強く香る |
香り(焚いた後) | 穏やかに香る | 強く香る |
香木の木目は樹脂が細かく入り込んでいるため、不規則に細い線が入っています。また、香木には独特の年輪があり、これを人工で作り出すのは困難です。偽物の木目は不自然に規則正しく並んでいたり、汚かったりするため、見た目の審美性に欠けます。
本物の香木は樹脂そのものの黒っぽい色と艶が特徴です。マーブルっぽいものがほとんどですが、偽物は色が黒すぎたり均一になりすぎていたりします。
さらに、香木は長い期間をかけて木に樹脂が染みることでできるため、断面は表面と同じような柄になっているのが一般的です。それに対して偽物は、表面と断面の色が違うことがあります。
また、本物の沈香でも断面の色が明るすぎるものは、成熟しきっていない品質の低い沈香の可能性もあることを念頭に置いておきましょう。強く油っぽい香りがするものは偽物の可能性が高いため注意が必要です。
そのほかにも、触ったときの手触りや重量感、形状によって見分けることができます。
実際に触れることができる場合は、積極的に手に取って確かめてみてください。
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香木の偽物には、以下のようなものがあります。
オイル漬けとは、成熟しきっていない香木を、香木の香りがするオイルにつけて香りをつける方法です。
本物の香木から採取した樹液に漬け、高級な香木と謡って販売するケースもあります。
また、低品質な香木を高級品だと基準を偽って販売したり、信用を得るために高価な保管箱に粗悪品を入れ、中身をすり替えて販売したりすることもあるようです。
さらに、香木は重い物の方が高値がつくことから、香木のなかに砂や蝋をいれて重さを偽っているものもあります。
これらの粗悪品はネットオークションやフリマアプリ、現地の露店や骨董市場で売られていることが多いため、購入するときは注意が必要です。
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ここからは、香木のなかでも人気がある沈香の見分け方を紹介します。
偽物を手にしないために、覚えておきましょう。
本物の沈香の特徴は以下の通りです。
沈香は、焚くと香りが立ち、焚く前の常温時はほとんど香りがしません。
また、沈香は香り成分である樹脂が染み込んだもののため、どこを切り取って焚いても柔らかい香りがします。
しかし、沈香は産地や部位によって香りが異なるため、どこを切り取っても全く同じ香りがする場合は偽物の可能性もあると考えていいでしょう。
見た目でいうと、本物の沈香は木目が不規則で美しく、艶があります。
また、沈香は「沈水香木」の略で、水に沈む香木として知られていますが、実際に水に沈むものはほとんどありません。
そのため、水に沈むかどうかで判断しないようにしましょう。
偽物の沈香の特徴は以下の通りです。
偽物の沈香は、沈香にならなかった木の部分に沈香のオイルを染み込ませたりコーティングしたりして作ります。
そのため、全く別のものというわけではなく、粗悪品と捉えるといいでしょう。
偽物の沈香は香りが強く、油っぽい匂いを感じる人もいます。
オイルを染み込ませているものは、断面からも香りがしますが、どこを焚いても全く同じ香りがする場合は偽物の可能性もあると考えておきましょう。
さらに、香りの強さに対して値段が手ごろすぎたり購入を強くすすめてきたりする場合は注意が必要です。
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伽羅は、色によって以下の5つに分別されることが多く、香りの系統や性質が異なります。
それぞれの特徴を掴んでおきましょう。
緑油伽羅は、伽羅のなかでも知名度の高い香木です。
以下のような特徴があります。
緑油伽羅は、こげ茶に緑を混ぜたような色をしている香木です。
さらに、緑油系統のなかにもいくつか種類があり、以下のように分類されます。
白皮緑油は緑油伽羅のなかでも高級品ですが、判断するためには大きめの香木でないと判断が難しいでしょう。
黄油伽羅は、黄色っぽい粘土のような色をした香木です。
以下のような特徴があります。
辛さがきつい場合は温度を調整することで和らげることもできます。
香木が細かいと緑油伽羅と間違えられることが多いため、購入時は注意が必要です。
さらに、黄油系統のなかにもいくつか種類があり、以下のように分類されます。
紫油系の伽羅は黒伽羅とも言われており、昔は伽羅の代表でした。
流派によっては黒伽羅以外は伽羅と認めないところもあるようです。
紫油伽羅は、焦げたような黒っぽい見た目の香木です。
以下のような特徴があります。
このように色の濃い伽羅は香りに奥行きがあり、濃厚なものがほとんどです。
さらに、紫油系統のなかにもいくつか種類があり、以下のように分類されます。
紫油伽羅は少し硬い質感で、甘味と辛味が交互に香ります。
そこに酸味や辛みが交わることで、奥ゆかしい香りを出しているのです。
黒油伽羅は、カラスの羽のような真っ黒な香木です。
以下のような特徴があります。
漆黒のような黒色で稀に金色の斑模様があるものもあります。
焚くと甘く強い香りが一気に広がりますが、苦みや辛みも感じるためくどさを感じることはないでしょう。
さらに、黒油系統のなかにもいくつか種類があり、以下のように分類されます。
この2つの伽羅は少々癖のある香りをしていますが、一部の流派に力強いファンがいる香りです。
赤油伽羅は、錆びたような赤色をした香木です。
以下のような特徴があります。
赤油伽羅は、土の中で熟成されているため、赤っぽく砂糖のような甘い香りが特徴的です。
また、赤油伽羅にほかの種類はありません。
関連記事:伽羅とは?香りを身につけられるおすすめのお香【9選】
香木を見分けるためには専門的な知識や豊富な経験が必要なため、専門業者へ依頼しましょう。
粗悪品であれば見た目と常温時の香りでわかります。
しかし、安い沈香に本物の樹液を含ませたものや、産地を偽っているようなものは簡単に見分けられません。
プロの鑑定士であれば、香木を割ってみたり削ってみたり焚いてみたりして判断が可能です。
香りの区別まで素人が行うのは不可能なため、香木を見分けるときは専門的な知識がある業者へ依頼しましょう。
香木の偽物と本物の見分け方をご紹介しました。
香木は、粗悪品であれば見た目と香りで見分けられます。特に、色が黒すぎて均一なものは偽物の可能性が高いでしょう。また、常温時に強く香る沈香も注意が必要です。
粗悪品であれば素人でも見分けられますが、なかには精巧に作られている偽物もあります。
精巧に作られている偽物は専門業者でないと見分けがつきません。
本物かもしれないと思った香木でも、一度プロの鑑定士といった香木の専門知識がある業者に鑑定してもらうことをおすすめします。
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この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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