コラム

香木

香木とは?種類や買取相場とともに解説

公開日 2024/03/12

更新日 2024/03/27

香木は、火をつけて焚くことでふんわりと優しいコクのある香りを放ちます。
香木を香ることで空気を浄化したりリラックスしたり気持ちを切り替えたりすることも可能です。
香木には、主に3つ種類があり、ここからはそれぞれの特徴や価格について紹介します。
最近では、ちょっとしたプレゼントやリラクゼーションアイテムとして注目が集まっているため、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

香木とは

香木とはよい香りのする木のことで、木自体から香りがします。
似た言葉で日本三大香木がありますが、こちらは沈丁花やクチナシ、金木犀といった香りの強い花をつける樹木のことです。
そのため、今回紹介する香木とは無関係だということを念頭に置いておいてください。
ここからは、香木はどこで獲れるのか産地や収集場所についてご紹介します。

 

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主要な産地

主要な産地は以下の通りです。

  • ベトナム
  • インドネシア
  • インド
  • オーストラリア
  • マレーシア
  • 中国
  • スリランカ
  • フィジー

主にアフリカ諸国や南太平洋諸国、東南アジア諸国といった熱帯地域で産出されます。
日本の物かと思っていた人も多いでしょう。
しかし、海外の物を輸入して利用しています。

収集場所

香木が収集できる場所には以下の2ヵ所があります。

  • 森林
  • 地中

香木となる部分は木の中心部のみです。
そのため、森林に自生している香木は、木を切り倒して香木となる部分だけを収集します。
また、香木となる部分は木自体が自然枯死しても腐らずに残るため、香木が地中に埋没している可能性も高いです。
そのため、香木を収集するハンターは香木が埋まっていそうな箇所を掘り返して収集します。

香木の歴史

香木は、飛鳥時代の595年に日本の淡路島に流れ着いたといわれています。
それを焚いた島人が香りのよさに驚いて朝廷に献上しました。
後に聖徳太子がその香りを嗅いで「沈香」と教えたといわれています。
香木は香りを楽しむだけでなく、沼地に埋没しても腐らない強度から仏像や数珠に用いられるようになりました。
さらに、平安時代の末期には、戦で高ぶる武士の気持ちを鎮めるために香木の香りを利用していたそうです。
そのため、香木の価値はどんどん高まり、次第に権力の象徴といわれるようになりました。
その後、交易が盛んになったことから様々な産地の香木が流通するようになり、次第に香りを楽しむ趣味としての香道が盛んになったそうです。
最近では、戦争や国際化により一度は衰退した香道も注目されるようになり、香木の人気も復活しつつあります。

 

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香木の種類

香木には主に以下の3つがあり、それぞれ香りや効果など特徴が異なります。

  • 沈香(じんこう)
  • 伽羅(きゃら)
  • 白檀(びゃくだん)

ここからは、3つの香木の特徴について紹介しましょう。

沈香(じんこう)

沈香とは、徳川家康が愛した香りと言われている香木です。
沈香は、水に浮かず沈んでしまうくらい体積が重いことから、元々「沈水香木」といわれていました。
これを短縮して今では沈香と呼ばれています。
産地はベトナムやインドネシアで、ジンチョウゲ科アキラリア属の樹木です。
木自体に香りはありませんが、木に含まれる樹脂に香りがあります。
この木は、害虫に穴を開けられたり樹木に傷が付いたり外部から刺激を受けることにより、樹脂を分泌します。
この刺激が加わってから数十年かけて樹脂が固まり、沈香に変質していくのです。
沈香は火をつけたときのみ香りが立ち、お寺を思い浮かべるようなコクのある香りを放ちます。
沈香は気持ちを静めてくれる効果があるため、雑念を払拭して気持ちを整理したいときにおすすめです。

伽羅(きゃら)

伽羅は、織田信長や明治天皇が愛した香りと言われている香木です。
沈香の高級品を指し、沈香よりも樹脂の含有量が多く伽羅になるまでに100年以上の年月がかかるといわれています。
ベトナムのわずかな地域でしか収集されず、なぜその地域で採取されるかなどは不明のままです。
伽羅は、香りの王様といわれている程香り高く頑丈なことから、仏像にも用いられています。
香りもコクが深く木の香りを強く感じることができますが、どこか清涼感も感じられるため頭の中をすっきりさせてくれるでしょう。
伽羅の価値は年々高騰しており、これからもあがっていくと考えられています。

白檀(びゃくだん)

白檀は、香りを楽しむほか数珠や線香にも、もちいられている香木です。
白檀は沈香や伽羅と収集方法が異なり、樹木の中心にある芯材を取り除き、20年ほど熟成させます。
そうすることによって、優しい甘さを含んだウッディな香りが立つようになるのです。
通常、香木は焚いて香りを楽しむものですが、白檀は加熱しなくても香りが立つため、木の破片を巾着に入れて香りを楽しむことができます。
白檀は心を落ち着かせてくれる効果があるため、仕事終わりのリフレッシュしたいときや朝のリラックスタイムにぴったりでしょう。
産地はインドやインドネシア、オーストラリアで、比較的手に入りやすい香木です。

香道における「六国五味」

六国五味(りっこくごみ)とは、香木の分類や香りの鑑賞をするときに必要な分類のことです。
六国とは、品質や産地によって香木を分けるもので以下の6つがあります。

 

六国の産地と香りの特徴

  • 伽羅(きゃら) ベトナム産、 五味をバランスよく感じられる最高級の香り
  • 羅国(らこく) タイ産、繊細で落ち着いた香り
  • 真南蛮(まなばん) インド産、酸味が強く落ち着いた香り
  • 真那賀(まなか) マレー半島産、柔らかく奥深い香り
  • 寸門蛇羅(すもんだら) スマトラ島産、酸味の中に甘みを感じる香り
  • 佐曽羅(さそら) インドシナ半島産、酸味が強く繊細で上品な香り

 

五味は香りを味に表した以下の5つのことを指します。

 

五味の香りの特徴

  • 辛…香辛料のような辛さ
  • 甘…果物や砂糖のような甘さ
  • 酸…レモンのような酸っぱさ
  • 鹹…焦げた海藻のような塩辛さ
  • 苦…漢方薬のような苦み

 

香道では、香りの違いを六国五味に例えて鑑賞し、楽しみました。
同じ種類の香木でも微妙に香りが異なることがあるため、その香りの違いを表すために六国五味が生まれたといわれています。

 

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伝説の香木とされている「蘭奢待」

ここからは、伝説の香木といわれている蘭奢待(らんじゃたい)について詳しく解説します。

特徴①正倉院の宝物

蘭奢待とは全長1.5mで11.6㎏もある日本最大の香木です。
正式名称は「黄熟香」で、蘭奢待という名前は東大寺の文字が隠れていることから東大寺の別名とも言われています。
この香りを嗅いだ明治天皇は「古めきしずか」と表現したそうです。
奉納されてから約1200年経った今もなお香り続けている御物です。

特徴②さまざまな偉人に愛された名香木

蘭奢待は、その香りと貴重性から数々の偉人に愛されてきました。
蘭奢待を持つ人は天下人と認識されたため、数々の偉人が欲しがったといわれています。
今まで蘭奢待を切り取った偉人は足利義満、足利義政、織田信長、明治天皇など教科書にも載っているような人ばかりです。
とくに権力に敏感だった織田信長は、切り取った蘭奢待を正親町天皇や千利休、津田宗及に分け与えました。
この行動がきっかけで、蘭奢待の名が世間に知れ渡ったといわれています。

近年需要が高まる香木の価値

ここからは、香木の相場についてそれぞれご紹介します。
ぜひ、購入時の参考にしてください。

沈香の相場

沈香の相場は、1gあたり380〜30,000円です。
状態や品質によって大きく差が開きます。
高級なものであれば40,000円近い値が付きますが、刻んだり粉末にしたりしたものは20〜2,000円で手に入れられるでしょう。
沈香は樹脂の密度によって値段が変わるため、密度の低い沈香は安価になりやすいという特徴があります。

伽羅の相場

伽羅の相場は、1gあたり5万円程です。
高級品のなかには10万円程のものもあります。
伽羅は希少性が高く、採掘コストもかかるため高額になりがちです。
伽羅の相場は年々高騰しており、40年ほど前は1gあたり1,000円台だったこともあります。
価格はこれからも高騰すると考えられるため、気になっている人は早めの入手がおすすめです。

白檀の相場

白檀の相場は、1gあたり50〜2,000円です。
香木は、香りを楽しむものより焼香用のものの方が安価になりやすい傾向があり、白檀は焼香用のものが多く出回っています。
さらに、白檀は香木の中でも安価で手に入れやすい香木のため、香木を試してみたいひとにおすすめです。

香木とは古くから愛されてきた香り

香木の種類や買取相場について紹介しました。
香木には主に「白檀」「沈香」「伽羅」の3種類があり、それぞれ香りや特徴が異なります。
香木から立ち上る細い煙を眺めていると仕事モードだった頭が切り替えられてリフレッシュできるでしょう。
さらに、香木はそれぞれ香りが異なるため、何度焚いても飽きません。
全く同じものはないため、自分や友人へのプレゼントにぴったりです。
そのため、気になる方はぜひ一度試してみてください。

 

香木の買取なら美観堂では香木をはじめ骨董品・美術・珊瑚などの買取を行っております。幅広い知識、豊富な経験を持つスタッフが丁寧に対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

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義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

《コメント》

複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
また、遠方にお住まいのお客様からのご依頼も多い中、出張買取を通じて、さらにお役に立てるよう努めてまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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