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備前焼の壺の買取相場は?業者選びのポイントも解説

公開日 2024/10/10

更新日 2024/10/10

備前焼の壺の処分に困っていませんか?あわよくば良心的な業者で、高く売りたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、備前焼の壺の買取相場や売る業者を選ぶときのポイント、高く売るためのコツについて解説します。備前焼の壺の買取に際してよくある質問にも回答しますので、ぜひ参考にしてください。

備前焼とは?

備前焼は、岡山県備前市を中心に1000年以上にわたって生産されてきた日本の伝統的な陶器で、日本六古窯のひとつに数えられます。釉薬を一切使用せず、約1300度の高温で長時間焼成することで、独特の赤褐色や黒褐色の風合いを生み出します。「窯変(ようへん)」と呼ばれる模様や色の変化が生じ、同じ窯で焼かれた作品でも一つひとつ異なる表情を持つのが特徴です。
特に、茶道具や花器としての用途が多く、侘寂(わびさび)の美学を体現する焼き物として評価されています。こうした歴史的背景と独自の製法により、現代でも多くの愛好者やコレクターに支持されている陶器の一つです。

備前焼の壺の買取相場

備前焼の壺の買取相場は、壺の大きさや作家製作年代状態などによって大きく変動します。一般的には、数万円から数十万円程度で取引されますが、有名作家による作品や「古備前」と呼ばれる鎌倉時代から桃山時代にかけての作品は、数百万円以上で取引されることも。
例えば、人間国宝である金重陶陽や藤原啓の作品は、その希少性と高い芸術的価値から非常に高額で取引されます。さらに保存状態が良好で、傷やヒビ汚れが少ないほど、その評価は高くなります。

備前焼の壺を売る業者を選ぶときのポイント

備前焼の壺を売ったことがない方にとって、どのようなポイントで買取業者を選べばよいのか悩むこともあるでしょう。備前焼の壺を売るときは、骨董品の買取実績が豊富で、出張サービスを利用できる業者を選ぶことが大切です。また、手数料が無料の業者を選ぶことで、安心して取引を進めることができるでしょう。
備前焼の壺を売る業者を選ぶときのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

骨董品の買取実績が豊富か

備前焼の壺を売却する業者を選ぶときは、買取実績に注目するとよいでしょう。買取実績が豊富な業者には、骨董品市場や備前焼に関する知識や目利きの経験を持つ人材がいる場合が多く、査定を受けるのに安心感があります。特に、備前焼のように商品価値が高い骨董品は、買取実績が少ない業者に依頼すると、適正に査定されず大きく損をしてしまう場合もあるかもしれません。
事前に業者のホームページや口コミをチェックし、過去の取引事例や顧客からの評価を確認し、実績が豊富な業者に依頼しましょう。

出張サービスを利用できるか

備前焼などの陶器は土でできているため、持ち運ぶ際に壊れやすいという弱点があります。そのため出張買取サービスを提供している業者を選ぶことが大切です。出張買取を利用することで、商品に傷がついたりひび割れたりする破損リスクを軽減できるとともに、買取店に運ぶ手間を省くことができます。また、業者がその場で現物を確認できるため、即決買取が成立することもあるでしょう。
あらかじめ業者の出張対応エリアやサービス内容を確認し、出張サービスを利用できる業者を選びましょう。

手数料は無料か

手数料が無料であるかどうかも、買取業者を選ぶときの重要なポイントです。業者によっては、査定料や買取手数料、出張料、キャンセル料などさまざまな手数料がかかる場合があります。せっかく高額で売却できたとしても、多くの手数料がかかってしまっては手元に残る金額は目減りしてしまうでしょう。
また、「とりあえず査定だけ」と業者へ依頼し、その都度手数料がかかってしまうことで、損をしてしまう可能性も考えられます。手数料の負担がない業者を選ぶことで、安心して取引を進めることができるでしょう。

備前焼の壺を高く売るには?

せっかく備前焼の壺を売るなら、高額で買取してほしいところ。しかし、より高い値段で売却するためには、どのようにすればいいか悩む場合もあるでしょう。
ここからは、備前焼の壺を高く売るためのポイントについて解説します。

付属品も一緒に査定に出す

備前焼の壺を高額で売るためには、元々の付属品を揃えて査定に出すことが大切です。付属品が揃っていると、作品が本物であることの証明となり、査定額にプラスの影響を与えます。特に、作家のサインや証明書などがある場合、その付加価値は非常に高くなるでしょう。
また備前焼を保管するための共箱には、作家の氏名や作品名が記載されている場合が多く、一緒に査定に出すことで売却額の大幅アップが期待できます。付属品や共箱がなくても売却することはできますが、高く売りたい場合はできる限り付属品の有無を確認し、査定時に忘れずに提示しましょう。

なるべく早く売る

備前焼の壺の価値に大きく影響するのが、作品の保存状態です。備前焼は土で作られており、長期間保管しているとヒビや欠けが生じてしまいます。また水分にも弱く、雨や湿度の影響で劣化しやすい傾向があります。経年劣化や水分の影響で作品の状態が悪くなると、売却価格にも大きく影響する可能性も。共箱に入れて丁寧に保管したり、乾燥剤を入れたりすることで、ある程度劣化を防ぐことはできるかもしれませんが、高額で売りたいならなるべく早く売ることをおすすめします。

相見積もりをとる

複数の買取業者から相見積もりを取ると、より高い価格で売却できる可能性が高まります。各業者は独自の査定基準を持っているため、同じ作品でも査定額に違いが生じることがあります。特に、骨董品の売却経験の少ない方が一つの業者だけで見積もりをとると、比較できるものがないため、提示された査定額が適切なのかを判断するのは難しいでしょう。
本来の価値よりも安い値段で売却してしまわないように、複数の業者に見積りを依頼し、より高額で買い取ってもらえる業者を選ぶことが大切です。また相見積もりを取ることで、業者間で競争意識を持たせることができ、結果的に査定額が上がる場合もあるかもしれません。

備前焼の壺の買取に際してよくある質問

骨董品や備前焼の買取を利用したことがない方は、買取をするにあたってさまざまな疑問を抱えているかもしれません。ここからは、備前焼の壺の買取についてよくある質問にお答えします。
買取を諦めがちな作品でも実は査定に出せるケースもあるため、参考にしてください。

Q.作家や作品名がわからなくても査定してもらえる?

作家や作品名、産地などがわからなくても、備前焼の壺を査定してもらうことは可能です。自身で作品の詳細がわからない場合でも、買取業者には専門の鑑定士がいるため、作品の特徴や作風から作家や作品名を特定できることもあります。特に、備前焼は「落款(陶印)」や箱への「墨書き」から作家物であるかどうかを確認できる可能性があります。
また、備前焼は詳細がわからなくても、単純に古そうであれば売却できるケースも少なくありません。「査定に出してみたら高額買取につながった」というケースも考えられるので、気軽に査定を依頼してみることをおすすめします。

Q.欠けや割れがあり状態が良くない品でも買い取ってもらえる?

あまりにも欠けや割れが多く、状態が悪いと査定を断られるケースはあるかもしれません。しかし基本的には、欠けや割れがあっても査定に出すことはできます。もちろん欠けや割れがあると査定額は低くなりがちです。ただし、作家物や希少な作品であれば、多少の欠けや割れがあっても高額で査定される場合もあるでしょう。
状態が良くない作品であっても、諦めずに査定に出せるか業者へ相談してみましょう。

Q.状態のよくない品は修復したほうがよい?

状態がよくないからといって、自分で修復することはおすすめしません。修復しようとした結果、逆に状態が悪化する可能性があるからです。
備前焼などの焼き物の修復は簡単なものではなく、修復するだけで職業として成り立つほど難しいとされています。修復しようとして状態が悪くなると、査定額にも響く可能性があるため、自身で修復しようとするのは避けましょう。先述したとおり、欠けや割れがあっても買取できるケースはあるため、そのまま査定に出すことをおすすめします。

備前焼の魅力

ときには数十万円でも取引される備前焼。多くのファンやコレクターが魅了されるのはなぜでしょうか。
ここからは備前焼の材料や焼き方、作品の特徴について解説します。

備前焼の材料

備前焼に使用される陶土として、「ひよせ粘土」「長船粘土」「山土」があげられます。その中でも「ひよせ粘土」は、岡山県備前市伊部周辺の限られたところでのみ採土できる貴重な土です。鉄分を多く含んでおり、耐火度に優れていることから備前焼の材料に使用されています。
通常、焼き物は「釉薬」と呼ばれるコーティングを施して強度を高めます。しかし、「ひよせ粘土」は粘り気が強く、釉薬がうまく乗りにくい性質があるため、耐久性に課題がありました。そこで、長時間窯で焼くという独自の製法が発見され、この方法により耐久性の高い焼き物が完成しました。これにより、備前焼特有の素朴な風合いを実現することに成功したのです。

備前焼の焼き方

釉薬を使わない備前焼では、耐久性を高めるうえで大切なのがその焼き方です。1200〜1300度の高温の窯で最低7日間、長いと10〜12日かけて焼き続けます。粘り気の強い陶土を高温でじっくりと焼き締めることで、丈夫な備前焼が完成するのです。
また炎の強弱や割木の灰など、窯の中で起きる自然な働きによって作品にさまざまな色や模様が現れます。たとえば、割木の近くで焼成するほど渋い色になりやすく、離れているほど浅い色が出るという特性などがあります。さらに、炎の状態によっても仕上がりに影響を与えるため、作家が交代で炎を見守りながら備前焼を完成させなければなりません。

備前焼の作品の特徴

備前焼の大きな特徴は、釉薬を使わない独特の製法による味わい深さです。一般的な焼き物は、釉薬を塗ることで耐久性が増すとともに光沢感が生まれます。その一方、備前焼は釉薬を使わないため、材料本来の色合いやザラザラした質感を楽しむことができ、使えば使うほど味わい深くなっていきます。
また備前焼は、模様付けを行いません。土の性質や窯への詰み方、窯の温度変化などの影響を受けて、焼成時にひとつひとつ異なる模様が現れ、唯一無二の作品に仕上がるのが特徴です。作品に生じる色や模様は「窯変(ようへん)」と呼ばれ、「胡麻(ごま)」や「桟切(さんぎり)」、「緋襷(ひだすき)」などさまざまな種類があります。

高額買取が行われる備前焼の作家

備前焼は有名作家が手掛けた作品ほど、高額で取引されがちです。人間国宝に認定された作家や受賞歴のある作家ほど、その作品の価値は高まります。
高額買取が行われる備前焼の作家の一例は以下のとおりです。

  • 藤原啓
  • 藤原雄
  • 金隅陶陽
  • 山本陶秀
  • 伊勢崎淳
  • 中村六郎

それぞれの作家の経歴や作風について、詳しく見ていきましょう。

藤原啓

藤原啓は息子の雄とともに備前焼の人間国宝にも認定された代表的な陶芸家の一人です。岡山県で生まれ、若い頃は俳句や小説を好んでおり、作家として独立。しかし作家活動に挫折し、40歳のときに陶芸に着手した遅咲きの作家です。1952年には東京で初めての個展を開催し、1962年にプラハ国際陶芸展で受賞、そして1970年には国の重要無形文化財「備前焼」の保持者として認定を受けました。彼の作品は、窯の中で起きる自然の変容を活かした近代的な造形が特徴だと言われています。

藤原雄

父・藤原啓と同じく、備前焼人間国宝に認定された作家が藤原雄です。彼は生まれつき視力が非常に弱く、とくに左目はまったく見えなかったとも言われています。しかし父の教育を受け、多くの芸術作品に触れて、センスを磨いていきました。大学卒業後は一般企業へと就職するものの、しばらくして帰郷し、父の看病をしつつ陶芸の技術を学んでいきます。1958年には日本伝統工芸展で初めて入選し、1964年には海外で個展を開催しました。さらに1985年に紺綬褒章を受章、1996年には重要無形文化財「備前焼」保持者に認定されました。藤原雄の作品は、彼の性格を表したかのようなあたたかみを感じる作風が大きな特徴です。

金隅陶陽

金重陶陽は、備前焼で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された陶芸家です。岡山県和気郡伊部村(現備前市)に生まれ、父・楳陽から陶技を学びました。初期は細工物を制作していましたが、後に桃山時代の備前焼の研究に取り組み、窯変(ようへん)を人為的に再現する技術を確立しています。1932年には轆轤(ろくろ)を使った制作を開始し、茶陶を中心に制作を続けました。陶陽は「備前焼中興の祖」と称され、今日の備前焼隆盛の礎を築きました。彼の作品は無駄を極限までなくし、隙のない個性的な作風が特徴で、売却の際には高価査定を期待できます。

山本陶秀

金隅陶陽(本名:政雄)は、岡山県和気郡伊部村に生まれた備前焼の名匠です。地元の窯元で修行を積み、1933年に独立。楠部爾弌の指導を受けながら技術を磨き、戦時中は南方向けの食器を制作しました。その評価は国内にとどまらず、1959年のブリュッセル万国博覧会ではグランプリを受賞し、国際的に備前焼の魅力を広めました。「轆轤の名人」として知られており、その作品は備前焼ならではの独特な風合いを現代的にアレンジしているのが特徴です。1987年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、日本伝統工芸展でも数々の受賞歴を持ちます。

伊勢崎淳

伊勢崎淳は1936年に岡山県備前市で生まれ、幼少期から父・伊勢崎陽山や兄と共に陶芸の技を学びました。岡山大学教育学部を卒業後、備前焼の制作に本格的に取り組み、1961年には兄と共に中世の古窯を復元します。その後、独自の窯を設計・建築し、伝統的な備前焼の技法に加え、現代的な感覚を取り入れた作品を制作しました。
イサムノグチや池田満寿夫をはじめとする現代アーティストとも深く交流を持ち、備前焼に独創的な世界観を加えているのが彼の作品の特徴です。伊茶陶やオブジェなど、多岐にわたる作品は国内外で高く評価され、2004年には人間国宝に認定されました。

中村六郎

中村六郎は、岡山県備前市出身の20世紀を代表する巨匠の一人です。彼は、幼少期から備前焼に興味を持っており、戦後に金重陶陽に弟子入りし、藤原啓や山本陶秀と共に技術を磨きました。1961年には独立し、自身の窯「六郎窯」を築きました。特に酒器の制作に力を注ぎ、「酒器の神様」「徳利の六郎」として知られています。彼の作品は、使い勝手のよさと美しさを兼ね備えており、野性味に溢れた味わい深さが特徴です。「中村家の緋色」と称される鮮やかな赤色が魅力的であり、多くの愛好家から支持を集めています。

有名作家の作品であれば、高額買取につながる可能性も

備前焼は1000年以上にもわたって生産されてきた、日本六古窯の一つである伝統的な陶器です。一般的に数万円から数十万円程度で取引されることが多いですが、有名作家が手掛けた作品であれば数百万円程度の高額買取を期待できます。作家や作品名がわからなくても査定することはできますので、買取業者へ気軽に相談するとよいでしょう。

美観堂では、香木や骨董品、茶道具の豊富な買取実績があります。出張買取にも対応いたしますので、買取希望の場合にはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

監修者の写真

義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

《コメント》

複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
また、遠方にお住まいのお客様からのご依頼も多い中、出張買取を通じて、さらにお役に立てるよう努めてまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

《許可証》

古物商営業許可番号第62115R033266号



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