遺品整理で日本刀が出てきたときの対応方法と相続・処分方法を解説
公開日 2024/09/04
更新日 2024/09/04
骨董品と呼ばれる品物のなかでも、日本刀はコレクターが多いアイテムの一つです。
「家族や親戚の遺品整理をしていたら日本刀が出てきた」「実家にある日本刀を処分したいけれど方法がわからない」と、日本刀の扱いに悩むようなケースもみられます。
日本刀のような武器は銃刀法で管理されるため、所有・譲渡・売却のためには、登録を受けなくてはなりません。
この記事では、日本刀を処分するために押さえておきたいポイントを紹介します。一般ごみとして廃棄できるのか、遺品整理で刀を見つけたときの対応や相続方法も解説します。
目次
日本刀は、それ自体が歴史的なアイテムとして価値をもつものが多く、観賞のための美術品としても人気があります。
一方で、銃刀法(鉄砲刀剣類所持等取締法)によって管理される武器の一種であり、一般ごみや粗大ごみとして廃棄することはできません。
経年劣化や保存状況によって広範囲に錆びや欠けが発生し、武器として機能していないものでも、刀剣類を許可なく所持したり譲渡・売却したりすることは禁じられています。
また、一般ごみと呼ばれるごみは「一般廃棄物」という正式名称で呼ばれています。一般廃棄物は、家庭から出る廃棄物と事業所から出る産業廃棄物以外のごみを指す言葉です。
日本刀は家庭から出る廃棄物、事業所から出るごみのいずれにも該当しないため、一般ごみに該当しないことがわかります。(※)
※参照元:目黒区「1 一般廃棄物とは」
日本刀は鉄砲・刀剣類に該当するものです。所有には「銃砲刀剣類登録証」と呼ばれる登録と登録証書が必要ですが、登録済みの刀であっても、自由に持ち運ぶことはできません。
刀に限らず、武器になりうるものは銃刀法で厳しく規制されています。護身用として屋外でカッターナイフを所持しているだけでも取り締まりの対象になることがあります。(※1)
殺傷能力の高い刀剣については、登録を受ければ所有することができますが、正当な理由なく外に持ち運ぶと身体への侵害を誘発するおそれがあるとされ、禁止されています。銃刀法では、刃体の長さが6cmを超えるものは「業務その他の正当な理由を除いて携帯してはならない」と定めています。
法務省が管轄する「軽犯罪法」でも、刀剣類の所持についての規定があります。第1条2号において、「正当な理由がなく刃もの・鉄砲その他の器具を隠して携帯していた者は、拘留または科料に処する」として、隠して持ち運ぶ行為が認められていません。(※2)
※1参照元:警視庁「刃ものの話」
※2参照元:総務省 e-Gov法令検索「軽犯罪法(昭和二十三年法律第三十九号)」
遺品整理で刀を発見したときは、次の2点を確認します。
【刀を見つけたときの対応】
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
刀剣類は、制作された時代や背景にかかわらず銃砲刀剣類等取締法第3条で「何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。」と規定されています。
ただし、法令に定められた例外として、同法同条第6号・第14条において、「美術品もしくは骨董品として価値ある火縄式銃砲などの古式銃砲や、美術品として価値ある刀剣類」は、都道府県にその所在や内容を登録することで所持が許可されます。
日本刀が見つかったときは、まず登録証を確認しましょう。都道府県に届け出て審査を受け、認められると「銃砲刀剣類登録証」が交付されます。登録証がなければ発見したことを最寄りの警察署に届け出なくてはなりません。
次に、日本刀が真剣であるかを確認しましょう。日本刀は、玉鋼(たまはがね)や和鉄(わてつ)で作られており、金属として磁石に反応する性質をもっています。磁石に反応すれば、本物の剣であることがわかります。
なかには刃がつけられていない模造刀・レプリカも存在するため、真剣か否かを見分けることが大切です。
刀の登録証が見当たらない場合の対処方法として、「刀剣類発見届出済証」の取得と銃砲刀剣類登録証の申請が挙げられます。
ここからは、手順を追って確認していきましょう。
刀剣類発見届出済証とは、最寄りの警察署に発見したことを届け出て受けられる許可のことです。
銃砲刀剣類登録証を交付されていない刀剣類をそのまま所持することは銃刀法で禁じられているため、発見の手続き(銃砲刀剣類発見届け)を行い、次に銃砲刀剣類登録証の許可を得る手続きに進みます。
最寄りの警察署の生活安全課などに連絡し、日本刀があることを伝えます。許可を受ける際に届け出を記入しますが、日本刀を直接警察署に持ち込んだり、移動のために持ち運んだりすることはできません。
刀剣類発見届出済証の交付を受けてから、銃砲刀剣類登録証を都道府県の教育委員会に申請します。
届け出がなされた刀剣類に対し、登録審査会と呼ばれる審査が規定の日時に行われます。案内通知が届き、その内容にしたがって審査を受けます。
審査に合格すれば登録証が発行されますが、不合格になったあとは刀剣類発見届出済証の交付を受けた警察署に提出し、廃棄しなければなりません。
登録証のある日本刀を処分する方法として、以下のような方法があります。
【日本刀の処分方法】
登録証は所有だけではなく、売却や処分にも必要なものです。対処方法を確認していきましょう。
刀剣類発見届出済証だけでは、刀剣類を所有することはできません。銃砲刀剣類登録証の交付によって、はじめて所有できるようになります。
「コレクションや観賞用に置いておきたい」「鑑定をしてもらってから売却などを検討したい」という場合は、まず銃砲刀剣類登録証を取得しましょう。
売却や譲渡をせず、所有もしないときには、警察署に処分を依頼できます。銃砲刀剣類登録証の有無にかかわらず処分が可能なため、日本刀をどの用途にも使わなければ刀剣類発見届出済証の交付を受けた警察署へ相談してください。
希少価値の高い日本刀は、適切に保管が難しいこともあります。その場合は美術館や博物館に相談し、寄贈する方法が選べます。
寄贈は市町村の役所・役場や教育委員会、国立文化財機構といった窓口に相談できます。寄贈品として適切かどうかの確認や相談も行えます。
遺品整理業者は、故人が遺した物品を整理して仕分けを行います。物品の搬出や処分、引き取りに対応しているサービスも多く、不要なものがあれば事前に相談のうえ、引き取りを依頼しましょう。
ただし、日本刀のような刀剣類は銃砲刀剣類登録証が必要です。登録を受けていないものは引き取りの対象にならないため注意が必要です。
遺品整理業者とは別に、アイテムを査定して買い取る買い取り業者にも相談することができます。
ただし、日本刀などの骨董品について知識が乏しい業者は、査定額を低くつけてしまう可能性があります。骨董品について正しい知識と取り扱い実績がある業者を選ぶことをおすすめします。
遺品整理で見つけた日本刀を相続する際は、銃砲刀剣類登録証の有無を確認してください。
ここからは、登録証がない場合と、ある場合の対処方法をみていきましょう。
銃砲刀剣類発見届けは、銃砲刀剣類登録証が存在しないときに刀剣類の所在を届け出るためのものです。
日本刀が発見された場所を管轄する警察署に届け出る必要があり、「刀剣類発見届出済証」が交付されます。
銃砲刀剣類登録証が存在する場合は、名義人の変更が必要です。登録証の交付は故人が受けているため、新たに相続する人の名義に変更する手続きをとらなくてはなりません。
所有者変更届は、日本等の登録証を発行した都道府県の教育委員会に提出します。
今回は、日本刀を処分するために押さえておきたいポイントを紹介しました。
日本刀は一般的な廃棄物や粗大ごみとは異なり、銃刀法に則って管理される刀剣類です。そのまま持ち運ぶことはもちろんのこと、発見したことも警察署に届け出なくてはなりません。
警察署での廃棄を除き、すべての処分に届け出と登録証が必要です。遺品整理で日本刀を見つけたときは、銃砲刀剣類等発見届けや所有者変更届といった手順に沿って手続きを進めてください。
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この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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