掛け軸が破れたときの修復方法と専門業者を選ぶときのポイント
公開日 2024/09/04
更新日 2024/11/07
掛け軸が破れた際の修復方法は、自分で行うか専門業者に依頼するかの選択がありますが、素人が修復を試みると状態を悪化させるリスクがあります。
この記事では、掛け軸の修復方法や、修理を依頼する業者を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。掛け軸を美しく保つための基本的な取り扱い方も紹介しているのでぜひ参考にしてください。
目次
掛け軸が破れたときの修復方法は、ご自身で行う方法と、専門の業者に依頼する方法の2種類があります。
和紙や絹などの素材がそろえられれば、ご自身で修復を行うことも可能でしょう。
しかし専門の技術や知識がない方が修復を試みると、状態をさらに悪化させてしまうこともあります。
痛みや汚れがついてしまう可能性もあり、骨董品としての価値は一気に下がってしまうでしょう。
そのため修復したいと思われる掛け軸があるなら、専門業者に依頼する方法をおすすめします。
専門業者であれば年代の古い掛け軸であったり、価値を落としたくない掛け軸であったりしても上手に修復してもらえるはずです。
掛け軸の修復を希望しているなら、知識や技術を持っている専門業者に依頼してください。
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それでは破れた掛け軸はどのように修復されるのでしょうか。
修復の内容について見ていきましょう。
しみ抜きは、掛け軸にできたしみを取る作業です。
和紙や布で作られている掛け軸は、しみができやすい傾向にあります。
変色すると美しく見えず、古めかしい見た目になってしまうでしょう。
しみは水による洗浄で落とせます。
水で落とせない経年劣化によるしみは、薬品を使用して落とすケースも。
ただし一般の方が水や薬品でしみを落とそうとすると、書や画に影響を及ぼすこともあるので避けてください。
折れやシワができた掛け軸は、仕立て直しか補強修理を行います。
仕立て直しは掛け軸を解体し、クリーニングをした後で再度組み立て直す作業です。
折れやシワが目立たなくなるだけでなく、掛け軸のバランスが良くなるのもメリットと言えるでしょう。
補強修理は組み立て直しをせず、裁断した和紙を裏から貼り付けて補強をする方法です。
主に折れに対して使われます。
破れた掛け軸を修復する際には、裏から和紙や絹を当てて補修します。
もし破れたひどければ、仕立て直しが行われるかもしれません。
和紙をあてるだけであれば、技術がなくてもできそうだと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし破れた掛け軸は和紙が古くなってきていることと同義です。
必ず専門の業者に依頼して修復してもらってください。
変色を修復するには、薬品によるクリーニングを行う方法がよく採用されます。
しかし薬品を使うと掛け軸にダメージがある場合もあり、着色が行われることも少なくありません。
変色がなくなると掛け軸のコントラストがはっきりとして、美しく見えるようになります。
掛け軸に細かなひびが入った場合は、漉きはめ修復が行われます。
漉きはめ修復とは素材と同じような和紙を原料とした「黒液」を流す修復方法のことです。
漉き簾の上に置いて、画や書がにじまないように処理をした後に行います。
自然乾燥させれば、ひび割れが目立たなくなるためスッキリと見えるようになるでしょう。
仕立て直しは掛け軸を一旦ばらして、再度組み立てる方法です。
先に解説しましたが、ばらした後にクリーニングを行うことにより、掛け軸のシワや折れなどを取り除きます。
もともと使われていた表装を使うことにより、再組み立て後も違和感のない仕上がりになります。
関連記事:掛け軸のしまい方のポイントと知っておきたい取り扱い方の基礎知識
破れたりシミがついたりした掛け軸の修理を依頼する際には、次のようなポイントを意識して業者を選びましょう。
【選び方のポイント】
まずは公式サイトにて、修理の実績がどのくらいあるかを確認してください。
実績が豊富である業者ほど、知識や経験が蓄積されているはずです。
ただし依頼に対して、要望を受け入れてくれない業者は避けるようにしてください。
大切にしてきた掛け軸でしょうから、要望どおりに仕上げてくれる業者を選ぶべきです。
修理を依頼する際には、上記2つのポイントを満たしているか、必ず確認するようにしましょう。
関連記事:掛け軸の処分方法とは?仏壇内の掛け軸の処分方法も解説
掛け軸を美しく保つには、正しい取り扱い方と保管方法を知っておくことが大切です。
長期間飾ったままにせず、定期的に取り替えて湿気の少ない場所に保管することが基本となります。
飾っている間も埃がつかないように、定期的に払ってください。
直射日光と湿気を避けて、汚れた手で触らないことも大切です。
掛け軸の取り扱い方を知っておけば、劣化して破れることも少なくなります。
関連記事:掛け軸の保管方法とは?正しい手入れの方法とともに解説
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、掛け軸が破れたときの修復方法がご理解いただけたと思います。
掛け軸は専門の業者に依頼すれば、破れや折れ、シミなどを改善してもらえます。
しかし正しい取り扱い方を知って、日頃から劣化しないように気をつけることの方が大切です。
掛け軸の保管状態は、買取価格にも影響を及ぼします。
掛軸の買取なら美観堂、ご不要な掛け軸があればぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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