日本刀を所持するのに許可は必要?銃刀法の詳細や持ち歩く際の注意点
公開日 2024/09/03
更新日 2024/11/11
近年は刀剣ブームが起こっており、自分でも日本刀を所有してみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。また、遺品整理で日本刀が見つかり、扱いに困っていることもいるでしょう。
気になるのが「許可が必要なのでは?」ということです。
そこで、日本刀の許可について知りたい方のため、どういった許可が必要かについて解説します。
この記事を読むことで銃刀法に関することや、実際に日本刀を購入するにはどういったことに注意すべきかなどもわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
結論からいうと、日本刀の所持に許可は必要ありません。そのため、特別な資格を取ったり講習を受けたりすることなく所持することが可能です。
例えば、猟銃の場合は、警察から所持の免許を受ける必要があります。日本刀にはこういったものはないのですが登録証は必要です。詳しくは後述します。
関連記事:日本刀を所持するのに必要な免許と注意すべき銃刀法に違反するケース
日本刀を持つことにより、銃刀法(じゅうとうほう)違反になってしまうのではないかと心配している方もいるでしょう。そもそも銃刀法とは何かというと、正式には「銃砲刀剣類所持等取締法」と呼ばれるものです。
銃砲や刀剣の所持を規制するための法律であり、これらの所持に関することのほか、輸入や譲渡・譲受などに関して詳細に定めています。
まずは、どういったものが銃砲刀剣類所持等取締法の対象となるのか確認しておきましょう。
銃砲刀剣類所持等取締法では、刀剣について以下の通り定めています。
【刀剣類】
これらに該当するものは、法令によって職務のために必要とされている場合などを除き、基本的に携帯が認められません。
違反した場合、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を所持した場合は2年以下の懲役または30万円以下の罰金、それ以外の刃物の所持は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになります。
刀については刃渡り15センチメートル以上のものが該当するということは、30センチメートル以下の短刀であっても銃砲刀剣類所持等取締法の対象になることを意味しています。
銃刀法により、武器としての日本刀は原則所持できません。
関連記事:遺品整理で日本刀が出てきたときの対応方法と相続・処分方法を解説
刀剣が銃刀法の対象になるのであれば日本刀は所持できないのかというと、そうではありません。あくまで禁止されているのは、武器としての刀剣の所持です。
美術品として日本刀を所持することは禁じられていません。これは、自分で美術品として家に飾るのであればどのような日本刀でも認められるわけではないので、注意しましょう。
美術品として所持することを認めてもらうためには、登録証の取得が求められます。
関連記事:日本刀を売るには何が必要?査定のポイントとともに解説
美術品として日本刀を所持したい場合は、必要な登録証を取得しましょう。登録証は「銃砲刀剣類登録証」(じゅうほうとうけんるいとうろくしょう)と呼ばれるものです。
その日本刀を所持する本人ではなく、該当の日本刀に付帯する形で発行されます。
なお、これは販売を行う側にも適用されることから、日本刀を購入する際は必ず銃砲刀剣類登録証が付与されている形となります。
そのため、もし、日本刀であるにもかかわらず銃砲刀剣類登録証がないものが販売されていた場合、購入するのはおすすめできません。
なお、模造刀と呼ばれる日本刀の形をした金属製品は本物の日本刀ではないことから銃砲刀剣類登録証の対象外です。
登録証に関する手続きはどのような場合に必要となるのでしょうか。以下に該当するケースや、売却時に必須となります。
銃刀法では、所有者や住所が変わった場合、それらを届け出なければならないとされています。
所有者が変わった際は「所有者変更届出書」の提出が必要です。
例えば、新たに日本刀を購入すると銃砲刀剣類登録証が付与されることになりますが、この場合も所有者が自身に移ったことを示すため、所有者変更届出書の提出が必要になります。
また、引っ越したことにより住所が変わった場合も手続きが必要です。なお、手続きに費用はかかりません。
基本的に販売されている刀剣類には銃砲刀剣類登録証が付与されていますが、例えば相続した日本刀に銃砲刀剣類登録証がついていなかったような場合も考えられます。こういったケースでは、そのまま所持することは認められません。
必ず銃砲刀剣類登録証の発行手続きをとりましょう。
登録証があったものの、紛失してしまったような場合、こちらも必ず再交付の手続きが必要です。
現在発行される登録証のサイズはB7(約12.8cm×9.1cm)で、それほど大きなものではありません。誤って無くさないように注意しましょう。
登録証を発行する方法を確認しておきましょう。前述した3つのケースそれぞれの手続き方法を解説します。
新規に日本刀を購入した場合などは、付与されている銃砲刀剣類登録証の所有者変更手続きが必要です。20日以内に登録証に記載されている都道府県の教育委員会に届け出ましょう。必要な用紙は刀剣商で受け取るか、または各都道府県のホームページからダウンロード可能です。届け出の際には登録証のコピーも必要になります。
住所変更については、登録証にある都道府県に対し「所有者住所変更届出書」の提出が必要です。所有者住所変更届出書は、各都道府県のホームページよりダウンロード可能です。
こちらも登録証のコピーを添付しましょう。
自宅の整理や相続などで未登録の日本刀を手にした場合は、新規登録が必要です。
まずは発見場所を管轄している警察署に対し連絡した上で刀剣類発見届けを提出しましょう。刀剣類発見届出済証が交付されます。
その後、教育委員会より登録審査会の案内が送付されるので、案内に従って刀剣類発見届出済証を提出してください。1件当たり6,300円の手数料が必要です。
登録証を紛失してしまった場合は登録証に記載されている都道府県の教育委員会に対し、再交付の手続きを行います。登録証に記載されていた都道府県がわからない場合は、最寄りの教員委員会へ連絡しましょう。
再交付の手数料は一件につき3,500円です。
登録証が発行されるのは、日本で日本古来の製法によって鍛錬され、焼き入れが施された刀剣です。海外製のものは対象となりません。
他にも、鋼を素材とする満鉄刀や、軍事用の刀剣であり日本刀とは区別される昭和刀なども対象外です。また、全体的にはなはだしい錆や傷、疲れなどがあるものや、著しく劣った製作で作られたものなども対象外となります。
日本刀を自宅に置いて楽しむのではなく、外に持ち出そうと考えているのであれば以下の2点に注意が必要です。
登録証があるとしても、正当な理由なく自宅などの保管場所から持ち出すことは認められません。
例えば、売却や研ぎに出すための持ち出しなどであれば認められるでしょう。
一方で「知り合いに見せて欲しいと言われた」「万が一の護身用」といった理由は認められません。
持ち歩く際は、必ず銃砲刀剣類登録証を携帯してください。コピーではなく、原本が必要です。
また、登録証を携帯していても日本刀を持っていることが分かる形で出歩いてしまうと周囲を不安にさせます。専用の刀袋やジュラルミンケースに収めるなどの配慮をしましょう。危険と判断される状態で持ち歩いた場合は銃刀法違反とみなされることがあります。
関連記事:日本刀の美観を保つために!お手入れの頻度と方法を紹介
いかがだったでしょうか。日本刀の所持に関しておさえておきたいポイントを解説しました。所持するにあたり特別な資格などは求められませんが、許可証は必ず取得しなければなりません。
必要な許可を取らずに銃刀法違反になるようなことがないように注意しましょう。
もし、日本刀を譲り受けたものの不要であるような場合は、登録証を取得したうえで美観堂までご相談ください。錆びているものや付属品が見当たらないものであっても高価買い取りが可能です。
出張査定や写真での無料査定にも対応しています。
この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
また、遠方にお住まいのお客様からのご依頼も多い中、出張買取を通じて、さらにお役に立てるよう努めてまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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