コラム

中国古銭とは?偽物を見分けるポイントを解説

公開日 2024/07/31

更新日 2024/10/30

中国古銭は歴史的価値と文化的背景から、多くのコレクターに人気があります。しかし、偽物が市場に出回っているため、古銭の真贋を見極めることが重要です。この記事では、中国古銭の基本知識から、偽物を見分けるためのポイント、さらに高価値な古銭の具体例について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、本物の中国古銭を手に入れましょう。

中国古銭とは

中国古銭は、昔の中国で流通していた通貨です。一般に銅や鉄で作られ、丸形に加工され中央に四角い穴が開けられているのが典型的な形状です。この穴を通して紐を結び、簡単に持ち運びや保管が可能でした。中国古銭は王朝ごとに独自の貨幣を発行し、政治的な変動や文化の発展とともに多様なデザインが生まれました。たとえば、唐の「元和通宝」や宋の「咸平元宝」など、それぞれの時代の特色を反映した貨幣が多く存在します。また、古銭の額面には、価値を示す文字が刻まれており、時代とともにさまざまな額面の銭が使用されていたことがわかります。

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中国古銭の歴史

中国古銭の歴史は古く、起源は殷時代です。当時、貝殻が貨幣として使われていました。春秋時代に入ると、青銅製の貨幣が登場し、これが中国全土で広く流通します。地域によって異なる形状や名称の貨幣が存在していたため、経済活動に多様性が見られました。秦の始皇帝が中国を統一した後、これら地方貨幣は統一され、半両銭と呼ばれる貨幣が普及しました。漢代にはさらに進化して五銖銭が主流となり、その後も長く使われ続けます。唐の時代には、より精緻な開元通宝が登場し、中国の貨幣制度は一層の安定を迎え、その影響は周辺国にも及びました。これらの古銭は、時代ごとの政治的・経済的背景を映し出す貴重な遺物とされています。

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中国古銭の偽造方法

中国古銭の偽造は、古くから続く問題で技術も多様です。ここでは、主な3つの偽造技術について解説します。これらの方法は、専門家でも見分けが困難なほど巧妙に行われることがありますが、知識を持つことで偽物を識別することも可能です。砂型鋳造法、改刻法、象眼法は、それぞれ異なる方法で偽造されるため、特徴を理解することが求められます。

砂型鋳造法

砂型鋳造法は、古代から利用されている鋳造技術で、砂を使って型を作り、溶けた金属を流し込んで硬化させる方法です。この技術は正規の古銭製造にも用いられてきましたが、残念ながら偽造者による悪用が目立ちます。偽造者は本物の古銭をモデルにして砂型を作り、型に溶かした金属を注ぎ込むことで、見た目が酷似した偽銭を製造することが可能です。ただし、この方法で作られた偽銭は、細部のディテールが原本と異なることが多く、質感も本物のものとは一致しません。そのため、細かなディテールと質感を確認することで、専門家は容易に本物と偽物の区別がつけられます。

改刻法

改刻法は、既存の貨幣に新たなマークや図柄を加えることで、価値を変える技術です。この手法は、低い価値の中国古銭を高価なものに見せかけるために使われてきました。具体的には、原本のデザインを改めて彫り直し、より価値があるとされる古銭の特徴を模倣します。しかし、改刻された貨幣は、元の銭と比べて細部のデザインが異なり、不自然な印象を与えるため、詳しい知識を持つ専門家は比較的容易に識別できます。このため、改刻法による偽造古銭の疑いがある場合は専門家の意見を聞きましょう。

象眼法

象眼法は、既存の古銭に高価な金属を細工して嵌め込む技術で、偽造者が古銭の価値を人工的に高めるために利用されます。具体的には、銅貨に金や銀を巧みに嵌め込むことで、古銭をより貴重なものに見せかけることが可能です。この技法で作られた偽銭は、一見すると本物によく似ていますが、金属の質感や重さを詳しく調べることで本物との違いを見分けられます。専門家は、これらの特性を詳細に検討することにより、偽物を確実に識別することが可能です。

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偽物の中国古銭を見分けるポイント

中国古銭のコレクターや愛好家は、市場に流通する数多くの偽物から本物の古銭を見分ける技術を身につけることが重要です。ここでは、偽物を見分けるための5つの具体的なポイントを紹介します。サイズや重さ、音の鳴り方、金属の種類、摩耗の程度、そして錆び方の観察を通じて、本物と偽物を区別する方法を見ていきましょう。

ポイント①サイズや重さで判別する

中国古銭の真贋を見極める際、サイズや重さは重要な判断材料です。各時代や王朝ごとに定められた標準的なサイズと重さが存在するため、これを基準にして古銭を見分けることが可能です。たとえば、特定の時代に製造された古銭が、公表されている標準値から著しく外れている場合、古銭が後の時代に製造された偽物である可能性が高まります。正確な測定ツールを使用して、サイズや重さを詳細に検証することが、偽物を見分けるための第一歩です。

ポイント②音で判別する

中国古銭を鑑定する際、音の響きは重要な手がかりの1つです。本物の古銭、とくに青銅製のものは長い時間を経て石灰化現象が生じ、その結果、金属が叩かれた際には鈍い音を発します。この鈍い音は、表面に形成された緑青(ろくしょう)が原因であり、古銭の年代を示す自然な劣化の証です。一方、新しく製造された偽物の古銭は、石灰化が存在しないため、はっきりとした明るい音を発することが多く、この特徴を利用して偽物を見抜けます。この音の違いを理解し、実際に試すことで本物と偽物を判断できます。

ポイント③銅の種類を調べる

中国古銭の偽物を見分ける上で、使用されている銅の種類は決定的な手がかりです。明の時代以前に製造された多くの古銭は青銅で作られていたため、これらの時代の古銭が黄銅である場合、後世に製造された偽物の可能性が高いです。青銅と黄銅は色や質感が異なるため、簡単な視覚的検査だけでなく、化学的な分析を行うことで、古銭が本物であるか偽物であるかをより正確に判断できます。この方法は、専門家だけでなく一般のコレクターにも役立つ重要な鑑定方法です。

ポイント④摩耗を確認する

中国古銭の真贋を見極める上で、摩耗の程度を確認するのは効果的な方法です。本物の古銭は長年にわたって使用されてきたため、文字や図柄だけでなく、古銭全体に均一な摩耗が見られます。これに対して、偽物の古銭は未使用のように見える本体に対して、意図的に摩耗させた文字や図柄が施されています。摩耗のパターンが不自然な場合は、偽物である可能性を示唆しています。したがって、古銭の各部がどのように摩耗しているかを詳しく観察することで、古銭の真贋を見分けられるでしょう。

ポイント⑤錆び方を確認する

中国古銭の真偽を判断する際、錆び方の確認は欠かせないポイントです。本物の古銭は年月が過ぎていく中で自然に錆びていくため、その錆は深く、均一に分布しており、表面に密着しています。自然な錆は通常、取り除くことが困難です。一方、偽物の古銭では、錆を人工的に加えることがありますが、このような「見せかけの錆び」は表面的であり、不自然な模様などが見られます。したがって、錆の質感などを細かく観察することで、古銭が本物かどうかの判断材料にできます。この方法は、古銭の価値を正確に評価する上で不可欠です。

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価値が高い主な中国硬貨を紹介

中国古銭の世界では、いくつかの硬貨が歴史的価値と美術的魅力から高い評価を受けています。これらの硬貨は、コレクターの間で人気があり、時には高額で取引されます。ここでは、価値が高いとされる主な中国硬貨を紹介し、それぞれのサイズや重さにも注目して見ていきましょう。

光緒元寶

光緒元寶は清朝時代に発行された価値の高い銀貨で、独特な歴史と希少性から、骨董品としても高い評価を受けています。この銀貨は、表面には「光緒元寶」と刻まれ、裏面には華麗な竜図が施されており、中国銀貨の中でも美しいデザインです。標準的な重さは7銭2分で約26.86g、その他のバリエーションとして3銭6分(約33.6g)および1銭4分4厘(約5.28g)があります。この重さと細部の造形の精度は、真贋を判断する際の重要な基準です。光緒元寶は歴史的背景と希少性から、収集家の間で高い価値を持ち、適切な評価を受けています。

大清銀幣壹圓銀貨

大清銀幣壹圓銀貨は、1910年に清時代の中国で発行された銀貨で、中国貨幣史において重要な位置を占めている古銭です。この硬貨は約26.2gの重さと39mmの直径を持ち、表面には「大清銀幣」の文字と裏面には精緻な「竜図」が彫られています。これらの特徴は、硬貨の真贋を判断する上で欠かせません。正確な重量と直径は偽物と区別するための基本的な指標であり、真正品は細部に至るまで高い精度で製造されています。大清銀幣壹圓銀貨は、歴史的価値と美術的価値から、骨董市場において高い評価を受け、状態が良ければ価格はさらに上昇します。

中華民国共和記念幣 壹圓銀貨

中華民国共和記念幣壹圓銀貨は、中国の近代貨幣史において特別な位置を占める銀貨です。この古銭は、1912年に中華民国が成立したことを記念して発行され、約26.7gの重さと39mmの直径を持ちます。注目すべきは、1914年と1918年に発行された分厚さの違いで、前者は約2.8mm、後者は約3.25mmです。表面には中華民国の初代大総統である袁世凱の肖像が採用されており、裏面には「中華民国共和紀念」と「ONE DOLLAR」という文字が刻まれています。希少性と歴史的背景から、この銀貨はコレクター間で高く評価されており、状態が良いものは数十万円で取引されることもあります。

袁世凱壹圓銀貨

袁世凱壹圓銀貨は、1914年に中華民国で初めて発行された重要な通貨です。この銀貨の表面には中華民国の初代大総統袁世凱の横顔が刻まれ、裏面には「壹圓」という文字が彫られています。銀貨の重さは約26.5g、直径は約39mmとなっており、精緻な造形が骨董品市場で高く評価されています。1919年に発行された「中華民国八年」は、希少価値が高く、コレクター間での需要も大きいです。この年の袁世凱壹圓銀貨は、通常の市場価格を大きく超えることがあり、良好な状態のものは10万円近くで取引されることもあります。

孫文壹圓銀貨

孫文壹圓銀貨は、中華民国の初代臨時大総統である孫文を記念して発行された銀貨です。中華民国22年(1933年)に発行されたものがコレクターにとって大変価値が高いです。この貨幣の重さは約26.67g、直径は約38mmと規定されており、表面には孫文の横顔が、裏面には「壹圓」と表記された船の刻印が施されています。1933年版は裏面に特徴的な「三羽ガラス」のデザインがあり、これが他の年と区別される点です。この年に製造されたものは、希少性と美術的価値から高額で取引されることがあり、状態が良いものは数百万円に達することもあります。

中国古銭は偽物に注意しましょう

中国古銭は、歴史的背景と文化的価値から多くのコレクターに愛されていますが、同時に偽造品も数多く出回っています。本物の中国古銭を見分けるためには、サイズや重さ、音の鳴り方、金属の種類、摩耗の程度、錆び方など、さまざまな要素に注意を払うことが必要です。偽造方法としては、主に3種類あり、それぞれの特徴を理解することで、偽物を識別することが可能です。また、光緒元寶や大清銀幣壹圓銀貨など、価値が高い中国古銭の具体例も押さえておくと良いでしょう。
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この記事の監修者

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義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

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複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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