コラム

骨董品

骨董品の相続税対策をするための評価方法や納税に役立つ情報について

公開日 2024/09/04

更新日 2024/11/06

 

骨董品を所有している方に向けて、骨董品や美術品の相続税について解説する記事です。
相続する・させるものの中に「骨董品」があると、相続税について不安になるのではないでしょうか?
支払わなければならないのか、どのくらいの支払額になるのか、節税する方法はないのか。

そこで今回の記事では、骨董品の相続税について広く解説します。
参考にしていただければ、骨董品の評価方法や相続税の節税について、さらに相続の際の注意点までご理解いただけるはずです。

そもそも骨董品とは?

「骨董品」とは、「古い時代に作られた価値のあるもの」のことです。
陶芸品でも絵画でも、玩具でも、古い時代に作られていて、現代において価値があると判断されれば骨董品になりえます。
ただしアメリカの通称関税法によると、製造されてから100年を超えたものであることが骨董品の定義。
しかし一般的には、100年を超えなくとも、価値があると認められれば骨董品に分類されることもあります。
いずれにしても、数十年から数百年以前に作られており、現代において価値があれば骨董品と呼べるでしょう。

関連記事:骨董品とは?種類や価値の決まり方を紹介

骨董品は相続税の課税対象となるのか

骨董品は相続税の課税対象となります。
税務署によるチェックを受けたうえで、価値があると認められたとしましょう。
そして価値が認められた骨董品が相続対象となっていた場合、相続税の課税対象とされます。
骨董品はその他の財産と含めて相続税課税の対象となり、相続税が算出されます。
似たような骨董品の市場価格や買取業者の査定価格、購入した際の金額を元に計算。
もし高額な骨董品を相続した場合は、相続税が思いのほか高額になることも考えられることです。

関連記事:骨董品の売却には税金がかかる?譲渡所得の計算や確定申告の必要性

骨董品の相続税評価の方法

もし骨董品を相続した場合、相続税の評価方法について気になることでしょう。
どのように算出されるのか、骨董品の相続税評価の方法について解説していきます。
採用される方法は、「売買実例価格」と「精通者意見価格」の2種類です。
それぞれにおける相続税評価の方法について見ていきましょう。

方法1:売買実例価格

実売実例価格は、現実的に売買される価格のことです。
骨董品市場の現状から、似たような商品の価格や買取価格を参考にして決められます。
ケースによっては、購入した価格も加味されるでしょう。
実際の市場でどのくらいの価格にて取引されているかによって評価する方法です。

方法2:精通者意見価格

骨董品への知識がある人の意見を参考にして決められるのが精通者意見価格です。
市場に出回りにくいものや、希少価値の高い骨董品の価格を決めるときに採用されやすい方法。
たとえば歴史的に一点しか制作されなかったものは、市場に出回りません。
そのようなときは専門家が鑑定をし、精通者意見価格を出して価格を決めることがあります。

関連記事:遺品整理で押さえておきたい相続税の関係性と計算方法

相続税の納税猶予

骨董品の相続には相続税が課せられます。
しかし特定の骨董品には「相続税の納税猶予」が適用されることも。
相続税の納税猶予とは、一定の条件を満たした特定美術品にかかる課税価格の80%が猶予もしくは免除される制度のことです。
納税猶予の納付は、相続税額の80%に相当する金額が猶予される制度です。
ただし必ず猶予されるわけではありません。
高額な美術品を相続したときに役立つ制度であるため、相続税の納税猶予について知っておきましょう。

どのようなものが特定美術品に該当するのか

相続税の納税猶予に該当する特定美術品は以下のとおりです。

【特定美術品】

  • 重要文化財として指定された絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産
  • 登録有形文化財(建造物を除きます。)のうち世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するもの

出典:国税庁:(PDF)特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし

納税の猶予を受けるには、重要文化財として指定されるか、登録有形文化財として認められるかのどちらかが必要です。
さらに条件として、美術館への寄託を継続する必要があります。
つまり「美術館に寄託されていたけれど、手元に戻して売却する」などのケースでは猶予は受けられません。
もし特定美術品に該当して、寄託を継続するのであれば相続税額の80%が猶予されます。

納税猶予の納付

猶予を受けていた相続税を納付しなければならないケースもあります。

【納税猶予が終了する場合】

  • 特定美術品を譲渡したり紛失したりした場合
  • 重要文化財としての指定が取り消された場合
  • 登録有形文化財の登録が抹消された場合
  • 保存活用計画の認定が取り消された場合
  • 寄託先美術館が閉館した場合

納税の猶予が受けられるのは、条件を満たしている間のみです。
そのため重要文化財や登録有形文化財ではなくなったとき、美術館が閉館して寄託を継続できなくなった場合が該当します。
猶予を受けられなくなると、猶予を受けていた期間の税金もさかのぼって支払わなければならなくなります。

納税猶予の免除

骨董品にかかる相続税は、猶予ではなく免除となることもあります。

【納税が免除となる場合[1]】

  • 寄託相続人が亡くなった場合
  • 寄託先美術館へ骨董品を寄贈した場合
  • 特定美術品が災害によって失われた場合

特定美術品を寄託した相続品が亡くなった場合は、もう納税は免除されます。
さらに寄託技術品を寄贈した場合や、災害によって失われてしまった場合も同様です。
つまり美術品が持ち主のもとにないと判断された場合は、相続税の納税が免除されます。

納税猶予の計算方法

猶予された相続税の納税は、次の計算方法にて納付しなければなりません。

利子税の割合=3.6%×特例基準割合/7.3%

特例基準割合とは、前々年の10月から前年の9月までで計算するものです。
国税庁によると次のように指定されています。

(注) 「特例基準割合」とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各
月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た
割合として、各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に
1%の割合を加算した割合(令和元年は1.6%)をいいます。

出典:国税庁:(PDF)特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし

納税猶予の計算をする際には、上記の計算方法を用いて算出してください。

相続財産のなかに骨董品があるときの注意点

財産を相続した中に骨董品があった場合は、次の3つのポイントに注意してください。

注意点①必要な書類を保管しておく

まずは必要な書類を保管しておきましょう。
次の4つは保管しておくようにしてください。

【必要な書類】

  • 骨董品を購入した際の領収書
  • 贈与をされた際の契約書
  • 売却をした際の見積書
  • 売却をした際の明細書の控え

骨董品の価値を示すために必要な書類であるため、大切に保管しておきましょう。

注意点②資産隠しの目的で使うのは必ず避ける

資産を隠すための目的で美術品を購入すると、税務署からの監査の対象となりやすいため避けましょう。
資産は現金で持っているよりも、美術品として持っているほうが隠しやすいと言われています。
そのため相続対策として美術品を購入して、資産としての申告を行わない方が一定数いることは事実です。
しかし資産隠し目的で美術品を購入した場合、税務調査での指摘を受けやすくなります。
無申告が発覚すれば、ほとんどのケースで追徴課税を課されるでしょう。
余分な納税を防ぐためにも、資産隠しの目的での美術品購入は避けるようにしてください。

注意点③専門業者に時価を計算してもらう

相続税が課されそうな骨董品であれば、まずは専門業者に時価を確認してもらうことが大切です。
骨董品や美術品の相続財産評価額を算出するのに、時価が採用されることがあります。
前述のとおり、希少価値の高いものでない限り、時価にて算出されるはずです。
そのため骨董品の相続税について考えるには、まず専門業者に時価を計算してもらわなければなりません。

関連記事:骨董品を買い取ってもらう際の注意点を解説!

骨董品を相続するときにできること

それでは最後に、骨董品を相続する際にできることについて見ていきましょう。
相続品の中に骨董品が含まれていたなら、次の5つの方法で骨董品を活用できるかもしれません。

できること1:生前贈与も視野に入れておく

骨董品を所有しているなら、生前贈与も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
生前贈与をすると年間110万円以内であれば贈与税が課せられません。
骨董品の価値を算出してもらったうえで、年単位で分割して贈与できそうであれば節税対策に効果を発揮します。
分割できそうな骨董品があるようであれば、生前贈与も視野に入れて節税を試みましょう。

できること2:売却する

売却して現金化する方法もあります。
現金にして相続をすると、利益が出た部分にはすべて所得税が課されます。
また売却によって得られた現金は、相続税の対象となるため節税効果は低くなるでしょう。
しかし相続税は現金で支払わなければなりません。
そのため将来的に支払わなければならない相続税の支払いを見越すのであれば、売却して現金化したほうが効率的なこともあります。

できること3:美術館に寄託する

続いては美術館に寄託する方法についてです。
特定美術品として認められれば、美術館に寄託すれば相続税の猶予対象となります。
またそのまま美術館に贈与した場合は、相続税の免除が受けられて納税義務からも逃れられるでしょう。
もし美術館に寄託できる価値のある骨董品であれば、相続税対策として寄託・贈与するのもひとつの方法です。

できること4:国や自治体に寄付する

美術館ではなく、国や自治体に寄付をする方法もあります。
文化的価値を持っている骨董品であれば、国や自治体が受け入れてくれることもあるでしょう。
もし寄付をしたとすると、相続税が非課税になることもあります。
ただし寄付をするなら、相続税申告の期限の10か月以内に行わなければなりません。
相続をしてすぐに寄付ができ、相続税の支払いを避けたい場合に有効な方法です。

できること5:骨董品で相続税を物納する

相続税の納税を骨董品で行うこともできます。
物納といい、骨董品や美術品をそのまま相続税として納める方法です。
ただし認められるケースは多くはありません。
金融資産や動産のほうが順序が上になるためです。
極めて高い価値を持つ骨董品であれば、物納が認められるかもしれません。

骨董品の相続税対策は万全に

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、骨董品の相続税対策についてご理解いただけたと思います。

骨董品はものにおいては、高額な相続税が課せられることがあります。
しかし生前に対策する方法もあり、さらに相続時にできることもあるのでぜひ最善の方法を考えてみてください。

美観堂では骨董品や美術品の鑑定や買取を行っております。
相続税対策を行うには、骨董品の価値を知ることが大切。
相続する予定の骨董品をお持ちなら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

[1]参照:国税庁:No.4154 特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除

この記事の監修者

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義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

《コメント》

複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
また、遠方にお住まいのお客様からのご依頼も多い中、出張買取を通じて、さらにお役に立てるよう努めてまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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