掛け軸の飾り方の基礎知識とは?ポイントと取り扱い方についての基礎
公開日 2024/09/04
更新日 2024/11/07
掛け軸を所有している方に向けて、床の間での飾り方について解説しています。
和室で掛け軸を飾ったことがない方であれば、どのように飾れば良いのかと悩むところではないでしょうか?
飾るべきか保管しておくべきかと悩む方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、掛け軸の飾り方についてさまざまな視点から解説します。
参考にしていただければ、手元の掛け軸を美しく飾れるようになるでしょう。
目次
掛け軸とは、基本的に床の間に飾られる絵画もしくは書です。
床の間とは和室にある、一段床を高くして小さなスペースのこと。
掛け軸を飾るだけでなく、花瓶を置いたり、置物を飾ったりするために使われます。
本来は神様が座る場所とされていたので、骨董品である掛け軸を飾るためのスペースとして適切でしょう。
しかし床の間に掛け軸を飾るには、サイズが合わなければなりません。
サイズがあっていないと和室と掛け軸との調和がはかれなくなります。
また季節によって、適切な掛け軸へと変更する配慮も必要です。
掛け軸と床の間は切っても切れない関係にありますが、掛け軸を飾るにはさまざまな配慮が必要であることも事実でしょう。
関連記事:掛け軸とは?歴史・用途・形式などの種類・主に描かれる題材を知ろう
掛け軸には飾り方がありますが、飾る前に事前準備を済ませておくことも大切です。
飾るためには、掛け軸と床の間のサイズが合うかどうかを事前に確認しておきましょう。
床の間のサイズは一定ではないかもしれません。
また掛け軸のサイズも一定ではありません。
床の間に対して掛け軸のサイズが大きすぎると、和室全体の見栄えが悪くなってしまいます。
掛け軸を飾る際には、事前にサイズが合うことを確認するようにしてください。
掛け軸をかける前に、環境が掛け軸に適しているかどうかも確認しておきたいものです。
床の間であれば、どのようなところでも飾れるわけではありません。
掛け軸の劣化を防ぐには、直射日光は避けるべきです。
温度や湿度の変化が激しいところも避けたほうが良いでしょう。
飾ろうとしている床の間が以上のような条件を満たしているか、確認してから飾るようにすると骨董品の劣化を防ぎやすくなります。
関連記事:掛け軸が劣化した際の適切な対処法&修復内容と費用の相場をチェック
事前準備ができたら、次のような手順で掛け軸を飾りましょう。
掛け軸の飾り方は次のとおりです。
【掛け軸の飾り方】
掛け軸に破損や汚損が起こりやすいのは、床の間に飾るときです。
箱から出した掛け軸は慎重に巻緒をほどいて、一旦、畳の上に広げましょう。
そして自在と矢筈の高さが合うように調節します。
自在とは掛け軸をかける高さを変えられる金具のことです。
掛け軸をしっかりとかけられるように高さを調整したら、矢筈に紐をかけて、掛け軸が破れないように慎重に吊るしてください。
後はゆっくりと垂らして、見栄えが良くなったら完了です。
垂らす際には、垂らし終えるまで手を離さないよう、慎重にすることがポイントとなります。
関連記事:掛け軸の飾り方は?床の間に飾るときにおさえておくべきマナー
前述したとおり、掛け軸は床の間とのバランスが重要です。
床の間のサイズは住宅により変わり、同じく掛け軸のサイズもものによって変わります。
見栄え良く飾るには、バランスが取れる大きさの掛け軸を購入しましょう。
次のようなサイズであれば、それぞれの床の間に合う掛け軸となるはずです。
床の間の形状 | 掛け軸の横幅 | 掛け軸の縦幅 |
横幅約180cm | 61cm | 191cm |
71cm | 194cm | |
横幅約90cm | 51cm | 181cm |
47cm | 181cm | |
棚・窓付きの床の間 | 61cm | 142cm |
71cm | 136cm |
床の間の形状も掛け軸のサイズもひとつではありません。
ご自宅の床の間に合わせたサイズの掛け軸を購入すれば、見た目良く飾れるでしょう。
関連記事:掛け軸の種類とは?どのようなときに使うべき?形式・様式の違いまで
掛け軸の飾り方を考える際に、サイズに考慮することは大切です。
しかし同じように、飾り方のポイントについて考えることも重要でしょう。
飾る際には3つのポイントがあります。
初めて掛け軸を飾ろうとするときは、飾り方もわからない方が多いのではないでしょうか。
ポイントを意識しながら飾ると、見栄えの良い和室になるはずですのでぜひ試してみてください。
掛け軸を飾る際には、影が入らないようにすることが美しく見せるためのポイントです。
基本的に床の間は、掛け軸が美しく見えるように影が入らないように作られています。
しかし物の置き位置によっては、壺や花瓶、その他の装飾品によって影ができてしまうこともあります。
掛け軸は鑑賞するためのものです。
影がかからず、スッキリと見える場所に飾るとより一層美しく見えます。
飾る際には影が入らないように、邪魔になるものを取り払えば美しい飾り方となるでしょう。
矢筈を使うことも重要なポイントのひとつです。
矢筈とは掛け軸を掛けるための道具のことを指します。
床の間には掛け軸を掛けるための釘が打たれていますが、釘に紐をかけると、紐が傷んでしまうかもしれません。
そこで紐が傷つかないように、矢筈と呼ばれる棒を使います。
また掛け軸を高い位置に掛けようとするときに、かけやすくするためにも便利なものです。
矢筈があると掛け軸の角度や高さの調節がしやすくなり、見栄えも良くなります。
掛け軸の飾り方にこだわるなら、ぜひ矢筈を使用して飾るのがおすすめです。
掛け軸は季節ごとに掛け替えるようにすると、季節感を演出できて風流です。
季節を表現するモチーフが描かれている掛け軸であれば、季節によって掛け替えてみてはいかがでしょうか?
掛け軸には季節を感じさせるモチーフが用いられることが多いものです。
もし季節ごとの花が描かれているようであれば、四季に合わせて掛け替えてみましょう。
和室の情緒が一気に高まるはずです。
関連記事:掛け軸の有名画家7選&価値のある掛け軸の特徴について
掛け軸を飾る際に気をつけたいのは、飾り方だけではありません。
取り扱う上で注意したいこともたくさんあります。
掛け軸は骨董品です。
骨董品としての価値を損なわないように、取り扱う際の注意点についても確認していきましょう。
まずは乾燥しやすい場所には掛けないようにしてください。
たとえば冷暖房や扇風機の風が直接当たる場所などが該当します。
ハロゲンランプの近くも乾燥しやすいので避けましょう。
掛け軸は紙でできているので、あまりに乾燥すると紙がしなやかさを失って折れてしまうことがあります。
骨董品としての価値を高めるには、損傷はできる限り抑えるべきです。
紙が折れてしまっては、もし掛け軸を売りたいとなったときに査定価格が下がってしまう要因にもなるでしょう。
そして飾ったとしても、見た目に美しくありません。
飾りたい場所に風が直接当たらないことを確認して、乾燥しにくい環境を選びましょう。
掛け軸を掛けたままにしないことも注意点のひとつです。
掛けたままにしていると、外気に触れてどうしても乾燥しやすくなるものです。
前述したとおり、掛け軸は乾燥すると紙が折れて劣化が進みやすくなります。
また外に出してあるとどうしても紫外線を浴びてしまうものです。
紫外線も劣化を促す原因のひとつとなり、掛け軸が日焼けを起こしてしまうことがあります。
そのため3か月に1回ほど、違う掛け軸に掛けかえると良いでしょう。
3か月と言えば、ちょうど四季が変わる頃でもあります。
四季ごとに掛け軸を掛けかえると、劣化も防げて季節感も演出できるのでちょうどよいのではないでしょうか。
掛け軸はかけたままにせず、定期的に掛け替えるようにしてください。
掛け軸を片付ける際には、湿気を避けるように気をつけてください。
紙は乾燥すると折れやすくなると解説しました。
しかしあまりに湿度が高い環境も同様に苦手です。
特に押入れなどに片付ける場合、湿度の管理が不十分になることもあるかもしれません。
紙に湿気が染み込むとカビが生えやすくなり、せっかくの掛け軸が飾れなくなってしまうこともあります。
掛け軸をしまうときは、晴れた日に陰干しをしてから片付けましょう。
陰干しで十分に湿気を飛ばしてから、濡れていない手で片付けるようにするとカビを防ぎやすくなります。
またずっと片付けっぱなしにするのではなく、着物のように定期的に外気にあてることも効果的でしょう。
乾燥とともに湿気やカビにも弱いのが掛け軸です。
片付ける際には環境に注意しましょう。
関連記事:掛け軸の保管方法とは?正しい手入れの方法とともに解説
掛け軸は季節ごとに掛け替えると良いと解説しました。
しかし行事によって掛け軸を掛け替えられれば、より一層美しい飾り方ができるようになるはずです。
まずは慶事に用いる掛け軸です。
【種類】
おめでたいモチーフの代表であるのが、松竹梅や鶴亀、高砂です。
端午の節句であれば、鯉の滝登りや鎧兜などの力強いイメージのモチーフを用いても良いでしょう。
続いては仏事に用いるのにふさわしいモチーフについてです。
【種類】
ただし仏事の場合は、宗教の宗派に合わせるのが基本となっています。
一般的には観音様や六字名号が有名ですが、宗派のスタンダードに従うのも必要でしょう。
続いては季節ごとの掛け軸です。
【種類】
花は如実に季節を表します。
たとえば冬に、朝顔の掛け軸が飾られていたら違和感を覚えるのではないでしょうか。
季節ごとの掛け軸を用意して、掛けかえるようにしましょう。
最近はインテリアを重視したおしゃれな掛け軸をかけている方も多くいらっしゃいます。
たとえば西洋画を掛け軸にして洋室にも掛けられるようにしたものや、ポスターのようにして飾れる日本画の掛け軸などです。
掛け軸を飾りたいけれど和室がないとのケースに適するでしょう。
関連記事:価値のある掛け軸を見分ける方法とは?判断の基準を紹介
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、掛け軸の飾り方についてご理解いただけたと思います。
掛け軸の飾り方には床の間とのバランスなどのコツがあります。
しかし骨董品を傷めないためのポイントがあることも事実です。
骨董品である掛け軸は、傷つくと価値が下がって査定価格も下がってしまいます。
掛軸の買取なら美観堂にお任せください。
使わない掛け軸を高価買取できるので、ぜひお気軽にご相談お待ちしております。
この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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