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刀剣・日本刀

日本刀の美観を保つために!お手入れの頻度と方法を紹介

公開日 2024/07/31

更新日 2024/11/06

日本刀は、美しい輝きと鋭い切れ味で多くの人を魅了します。しかし、美しさと機能を保つためには、適切な手入れが欠かせません。この記事では、日本刀の手入れが必要な理由、具体的な手入れの頻度と方法、そして必要な道具について詳しく解説します。定期的な手入れを通じて、日本刀を長期間にわたり美しく保つためのコツをご紹介します。日本刀の価値を守りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

日本刀に手入れが必要な理由

日本刀は、美しい光沢と鋭い切れ味で知られていますが、維持するためには適切な手入れが不可欠です。主な材料である鉄は、湿気や油の影響を受けやすく、適切な管理が行われない場合、錆びや傷が生じる恐れがあります。錆びは美しい見た目を損なうだけでなく、機能面にも重大な影響を与えるため、定期的な手入れが欠かせません。また、古くから伝わる日本刀は、単なる武器としてではなく、芸術品としての価値も高く評価されています。そのため、刀身を傷つけずに錆を除去するための専門的な技術も必要とされ、適切な手入れによって価値を長く保てます。

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日本刀を手入れする頻度

手入れの頻度は、一般的に3ヶ月に1度が基本です。この頻度は、刀が錆びるのを防ぎ、常に最良の状態を維持するために適切な頻度です。定期的に鑑賞する場合は、その都度、軽い手入れを行うことが推奨されます。しかし、研ぎたての場合や新しく製作されたものは、通常よりも錆びやすいため、最初の3ヶ月間は週に1度、その後4ヶ月から6ヶ月は2週間に1度、7ヶ月から12ヶ月は3週間に1度、13ヶ月から24ヶ月までは4週間に1度の頻度での丁寧な手入れが理想的です。このように段階を追って頻度を変えることで、日本刀の美しさと機能性を長期間保てます。

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日本刀の手入れに必要な道具

美しい見た目と機能を維持するためには、適切な手入れが欠かせません。手入れには専用の道具が必要です。それぞれの道具は特定の役割を持ち、刀の手入れを効果的に行うために必要不可欠です。以下の5つの道具を正しい方法で使うことで、美しさと価値を長期間保てます。

目釘抜き

手入れを行う際、最も初めに使用するのが「目釘抜き」です。この道具は、刀身と柄を固定している「目釘」を抜くために必要不可欠な道具です。形状は一般的なハンマーに似ており、使用する際には、長い棒部分を目釘に差し込みます。次に、俵型のヘッド部分を目釘にしっかりと当て、力強く押し下げることで目釘が抜ける仕組みになっています。目釘抜きの正確な使い方をマスターすることで、刀の他の部分を傷つけることなく、安全かつ効率的に作業を進めることが可能です。刀の状態を保つためにも、重要な工程です。

丁子油(ちょうじあぶら)

刀身の保護に欠かせない「丁子油」は、刀身に直接塗布して使用します。この油は、刀身を空気から守る薄い被膜を形成し、錆びや汚れの付着を防ぐ役割を果たします。使用する際には、刀身に薄く塗るだけで十分です。市販の手入れ道具セットに含まれる丁子油は、多くの場合、小瓶で提供されており、少量ですが、その量でも数年間の使用が可能です。丁子油を塗布することで、見た目の美しさと機能性を長期間保つことができ、価値の維持にもつながります。正しい使用方法と適量を守ることが、効果的な保護には必須です。

拭紙

日本刀の手入れにおいて、拭紙は必要不可欠な道具です。この特別な紙は、刀身に残る古い油や汚れを優しく拭き取るために使用されます。一般に「奉書紙」として知られるこの紙は、高い吸収力と柔らかさで評価されていますが、コストが高いため、多くの愛好家は代替品を利用することが多いです。手軽に入手できるマイクロファイバークロスや、保湿成分を含まない柔らかいティッシュペーパーは、奉書紙の良い代替品です。拭紙は、手入れの初めに使用する「下拭用」で古い油を取り除き、その後「打粉」を拭き取る「上拭用」としても使用します。適切な拭紙の選択と使用は、刀の美しさと機能を長期間保持する上で重要な役割を果たします。

打粉

「打粉」は、刀身の古い油を除去する際に不可欠です。この道具は、棒の先端に固定された布に砥石の粉末が詰められており、使用する際には刀身に軽く叩きつけることで粉末が均等に広がります。しかし、打粉の付けすぎは刀身の微細な傷につながるため、適量を守ることが大切です。適切な量の打粉を使用することで、油や汚れを効果的に取り除きながら、刀身を保護できます。この手順は、日本刀の美しさと機能性を維持するために、慎重に行う必要があります。

ネル布

仕上げの工程で重要な役割を果たすのが「ネル布」です。ネル布は、柔らかく吸油性に優れているため、丁子油を均一に刀身に塗布するのに最適です。ネル布に少量の丁子油を染み込ませ、刀身全体に軽くなでるようにして油を塗ります。この工程は、刀を保護し、さらに光沢を与えるために不可欠です。適切に油が塗られた刀身は、錆びや損傷を防ぎ、長期にわたり美観を保てます。ネル布を使用することで、刀の保護と美しさの両方を効果的に維持することが可能です。

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日本刀の手入れ方法

日本刀の手入れは、美しい見た目と価値を保つために重要です。正しい方法を守りながら、定期的に手入れを行うことで、刀の劣化を防げます。ここでは、日本刀の手入れ方法を順を追って解説します。

刀の目釘を抜く

日本刀の手入れを始めるにあたって、最初の手順は目釘を抜く作業です。目釘とは、刀の柄と刀身を固定している小さな釘のことで、これを抜くことで刀身と柄が分離できます。刀を横に置き、目釘抜きを使って慎重に目釘を打ち出します。この作業は繊細さが求められ、目釘を失くさないように注意が必要です。抜いた目釘は、再び使用するため、柄の目釘孔に差し込んで保管しましょう。この手順により、刀身を柄から外す準備が整い、次の手入れへと進みます。

刀を鞘から抜く

刀の目釘を抜いた後は、刀を鞘から正確に抜きましょう。この作業を行うにあたって、刀の刃を上に向けることが基本です。左手で鞘を持ち、右手で柄を握ります。刃を傷つけないように、そして安全を確保するためにも、ゆっくりと力を均等に加えて鞘から抜きます。鞘口の部分を軽く切る動作は、危ないので慎重に行いましょう。急激な動きは避け、静かに滑らかに刀を引き抜くことで、刀身を保護しつつ作業を進められます。この手順により、次の段階である刀身の清掃や保護に移る準備が整います。

刀を柄から外す

刀を鞘から抜く作業の後、柄から刀身を外す工程には注意を要します。まず、柄を左手でしっかりと握り、刀を軽く斜めに持ってください。この状態で右手で作った拳を使い、左手の手首を優しく叩きます。この行動により、刀身の茎が柄の中で少し緩むことを促します。緩んだら、さらに軽く数回叩いて茎を完全に柄から解放しましょう。刀身が外れる瞬間は慎重に行い、刀身が勢いよく飛び出さないように注意が必要です。これにより、刀身を安全に取り出し、後の手入れ作業に移れます。全体のバランスを考え、この作業を通じて日本刀の手入れの質を高めることが大切です。

刀に付いている古い油やゴミを拭う

日本刀の美しさの維持において、古い油やゴミを拭き取る作業は大切です。この作業を徹底することで刀身の酸化や変色を避け、美しい状態を保てます。まず、柔らかい拭紙を用いて刀身を優しく包み込むようにして拭きます。刀の棟から始めて、刃先に向かってゆっくりと力を入れずに拭いていくことが重要です。刀の刃は鋭いため、拭く際は怪我をしないよう最大限の注意を払いましょう。この手順を丁寧に行うことで、刀は美しい輝きを保ち続けます。

打ち粉を使って古い油を完全に取り除く

打ち粉は、日本刀の手入れにおいて古い油や汚れを徹底的に除去するために用いられる道具です。拭紙だけでは完全に取り除けない微細な油分や汚れを吸着し、刀身を綺麗にする効果があります。使用する際は、まず刀の差表に打ち粉を均等に散布し、ハバキ元から刃先に向かって軽くたたくように塗布します。その後、刀を裏返して反対側も同様に行いましょう。最後に、刀の棟にも少量を適用し、全体が均一になるよう注意深く調整します。この作業を経て、拭紙を使用して上拭いを行い、刀身を完全に清掃します。

新しい油を塗る

日本刀の手入れの最終段階において、新しい油を塗る工程が大切です。この作業によって刀身を錆や汚れから守り、長期間にわたり美しさを保てます。適切な方法で油を塗ることが、刀の保護において決定的な役割を果たします。まず、油塗紙を使い、新鮮な油を均一に刀身に塗布しましょう。始める際には、刀の棟から手を滑らせながら、刃に向かって慎重に油を広げていくことが肝心です。この時、油は適量を用い、均等に広げることで、過剰な油が残らないよう注意しましょう。油が均等に塗られたことを確認した後、刀身と柄を目釘で固定し、刀を鞘に収める準備をします。この手順を丁寧に行うことで、日本刀は輝きを長く維持できます。

刀身を鞘に納める

最後に刀身を鞘に戻す工程です。この工程は、刀を安全に保管し、長期間の保護を確実にするために行います。まず、ハバキを含む全ての部品が適切に配置されていることを確認します。その後、茎を柄に戻し、左手で柄を持ちながら、右手のひらで柄頭を軽く叩いてしっかりと固定してください。適度な力で確実に納めることが刀の安定性を保てます。最終的に目釘を打ち込んで刀身が動かないように固定し、丁寧に刀を鞘に収めます。この手順を丁寧に行うことで、刀は安全かつ適切に保管され、美しさと品質を長く保つことが可能です。

日本刀の保管方法

日本刀の保管には細心の注意が必要です。直射日光と湿度は、刀剣の天敵なので避けるようにしましょう。保管場所は、直射日光が当たらず、湿度の低い風通しの良い環境を選んでください。刀は横に寝かせて置くことが一般的です。立て掛けると、地震の際に倒れるリスクがあり、刀身や鞘が傷つく可能性が高まります。また、刀袋に入れて保管することが理想的であり、登録証や鑑定証は、直接触れないようにして保護することが大切です。古い拵(こしらえ)に刀を入れるのは避け、清潔な白鞘に入れるのが望ましいです。これにより、刀身が外部の影響から保護され、長期にわたって美しさを保てます。

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日本刀のお手入れは欠かさないようにしましょう

この記事では、日本刀のお手入れと保管の重要性を詳しく解説しました。日本刀を美しく長持ちさせるためには、定期的な手入れが必須です。手入れの頻度や必要な道具、具体的な方法を適切に行うことで、刀の価値を保ち、錆や傷から守れます。また、保管方法にも注意が必要で、直射日光や湿度から刀を守る適切な環境を整えることが重要です。日本刀の適切な管理は、美しさと機能を長期間にわたって保つために欠かせません。
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この記事の監修者

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義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

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複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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