掛け軸の飾り方は?床の間に飾るときにおさえておくべきマナー
公開日 2024/09/04
更新日 2024/11/07
掛け軸が飾られているとそれだけでその部屋がおしゃれになるだけではなく、引き締まります。特に、床の間に掛け軸を飾りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
ですが「そもそもどのように飾れば良いの?」と疑問を抱えている方もいるはずです。そこで、床の間に掛け軸を飾りたいと考えている方のため、おさえておきたい基本やマナーについて紹介します。
この記事を読むことでどういったことに注意しなければならないかなどもわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
掛け軸といえば、何となく雰囲気で理解してはいるものの、どういったものかと聞かれると答えられない方もいるはずです。
掛け軸は、床の間などに飾れるように仕立てられた絵画や書のことです。本紙と呼ばれる絹、絖(ぬめ)、紙などに描かれており、それを布や紙などの表具に貼って飾れるように装飾します。
木の軸に巻き付けることで小さくした状態で保管できるようになっているのも特徴です。
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掛け軸には、いくつか種類があります。ここでは、主な種類を3つ紹介します。
代表的なのが、時季や季節を味わう目的のものです。
たとえば、鳥や草花を描いた「花鳥画」や、動物を描いた「動物画」、山岳・河水・樹木などを描いた「山水画」、風景を描いた「風景画」などがあります。
花で季節を表す掛け軸だと、春を表す桜、夏を表す朝顔、秋を表す紅葉、冬は表す水仙などが代表的です。季節を表す掛け軸には、その季節を思わせる花のほかに鳥が描かれているものが多くあります。
春夏秋冬の花鳥風月を描いた物は季節掛とも呼ばれるものです。日本では古くから四季折々の掛け軸に掛け替える慣わしもあります。
慶弔のために飾られる掛け軸もあります。
例えば、正月や結婚といったお祝い事がある際に用いられるのが祝儀掛けです。演技が良いとされる松竹梅、鶴亀などが描かれています。
掛け軸によって持つ意味が異なるので、祝儀掛けの目的で飾る場合は、祝い事の内容や意味に合ったものを選ばなければなりません。
節句掛けも慶弔に用いる掛け軸の一つです。子どもの成長を祝う目的があることから、桃の節句には雛人形に関するもの、端午の節句には鎧兜や鯉の滝登りなどを描いたものが代表的といえます。
神仏画や書画は、掛け軸を掛けるお宅の宗教や宗派といったものに沿った内容のものです。
神仏画には、神事で掛ける神号や神事画と、仏事で掛ける仏画があります。このうち、仏画は単なる美術品としての意味合いだけではなく、仏を祀ることにより家を守ってもらうといった意味もあるため、特に扱いや飾る場所には注意が必要です。仏壇のような形でお茶をお供えすることもあります。
また、書画とは文字作品による掛け軸です。文字のみで書かれているものと、絵とともに描かれているものがあります。
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掛け軸は、どのように飾れば良いのでしょうか。正しく扱うためにも基本をおさえておきましょう。
掛け軸を保管していた箱から取り出し、巻緒(まきお)をほどいてきます。巻緒とは、掛け軸を巻いた状態で固定するための留め具の役割を持つ紐のことです。
巻緒をほどく際は、まず、掛け軸を下から支えるようにしっかりと片手で固定しておきます。巻紐の端を反対側の手で持ったら、ゆっくりと引いていきましょう。
続いて掛け軸を支えている側の手はそのままで巻緒側の手を動かし、くるくると引いてほどいていきます。
掛け軸はとても繊細なものもあるので、巻緒をほどく際にうっかり落とさないように注意が必要です。
巻緒の下には、巻紙(まきがみ)と呼ばれる保護用の紙が挟まれている場合があるので、巻紙が敷いてあった場合はこれも取り外しておきます。取り外した巻紙はしまう際に必要になるものなので、なくさないように箱に保管しておきましょう。
巻緒をほどきおわったら、一度畳の上に開く前の掛け軸を置きます。ほどいた巻緒は掛け軸を掛ける際に使用する紐である掛緒(かけお)につながった状態です。巻緒は掛軸の後ろ側に垂らすことになりますが、掛緒の中央部分にあると飾った時に見えてしまうので、見えにくくなるように掛緒の端側に移動しておきましょう。
掛け軸を少し開き、風帯と呼ばれる上部の軸より下がる布地部分に折り目がついている場合は、折り跡をとっておきます。
掛け軸を壁に飾る際に使うのは、矢筈(やはず)と呼ばれる道具です。長い木の棒の先に金具がついています。
金具部分に掛緒を引っ掛け、壁のフックに掛けましょう。
その際、片方の手で矢筈を持ち、もう片方の手で軽く開いた状態の掛け軸を支え、吊るしている最中に掛け軸が勝手に広がらないようにしっかり支えます。
壁に掛け終わったら慎重にゆっくりと支えながら掛け軸を垂らしてください。
壁に設置されてあるフックが高く、掛け軸が短い場合は掛けられた位置が高く、下に空間が空きすぎてしまうことがあります。こういった場合は、掛け軸の高さを調節できる自在(じざい)と呼ばれる道具があるので、こちらも活用してみると良いでしょう。
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掛け軸を飾る際の基本的なマナーについてもおさえておきましょう。
以下の4つを事前に確認しておくことをおすすめします。
掛け軸を飾る場所は、基本的に床の間です。床の間とは、座敷に設置された一段高くなっている空間のことをいいます。
家の中でも最も格式が高い部屋に作られていて、その部屋では装飾をして来客をもてなす役割があります。装飾のために使われている道具の一つが掛け軸です。
床の間のサイズに合ったものを選ぶことも忘れてはいけません。目安としては、床の間の横幅からみて3分の1程度の幅の掛け軸を選ぶと良いでしょう。
なお、必ずしも床の間以外に設置してはいけないといったルールはないので、マンションなどで床の間がない場合は、その他の場所でも問題ありません。
矢筈と呼ばれる道具を使用して掛け軸を壁にかける方法を紹介しました。中には「矢筈がないから、壁沿いに置いた椅子などに乗って掛け軸をフックに掛けよう」と考える方もいるかもしれません。
ですが、基本的に床の間には足を踏み入れるべきではないといった暗黙のルールがあります。そのため、足を踏み入れることなく掛け軸を掛けられる矢筈など、専用の道具を用いましょう。
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掛け軸に影が入るのはよくありません。例えば、床の間以内の場所に設置したり、掛け軸の前に壺や花瓶などを置いてしまったりした場合に影が入りやすくなります。
壺や花瓶などを置く場合は、光源の位置を確認し、掛け軸に影が入らない位置に移動しましょう。
季節を表す掛け軸は、その季節ならではのものを選ぶと良いでしょう。そのため、できれば春夏秋冬それぞれの掛け軸を用意してみてください。
難しい場合は年中用の掛け軸がおすすめです。
掛け軸は取り扱いに注意が必要です。特に気をつけたいポイントを3つ解説します。
掛け軸は湿気に弱いことから、しまう際に湿気とカビ対策が必要です。
まず、箱にしまう際は、よく晴れて湿気の少ない日が続いたタイミングを選びましょう。梅雨のように湿度の高い時期は晴れた日を選び、陰干ししてから一度保管します。次の晴れた日に再度陰干しして乾燥させてから保管しましょう。
濡れた手でさわらないことも大切です。
関連記事:掛け軸のしまい方のポイントと知っておきたい取り扱い方の基礎知識
掛け軸を一年中ずっとかけ続けると、乾燥しすぎて折れやすくなってしまいます。日光があたる場合は日光による焼けや乾燥が発生してしまう可能性も高いです。
2~3ヶ月に一度は他の掛け軸と交換しましょう。
湿気に弱い掛け軸ではありますが、過度な乾燥もよくありません。乾燥しやすい場所は避けて飾ることで長持ちしやすくなります。
いかがだったでしょうか。掛け軸を床の間に飾るうえでおさえておきたいマナーや基本について解説しました。掛け軸を長く大切にしていくためには、正しく取り扱うことが重要です。
保管する際も注意してみてください。
今後飾る予定がない掛け軸は、放置すると状態が悪くなっていきます。掛軸の買取なら美観堂までご相談ください。作者のわからない掛け軸であっても適切な鑑定を行っています。
この記事の監修者
義村 安悟(よしむら あんご)
《経歴》
美観堂 大阪本店店長 査定歴15年
《コメント》
複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
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