コラム

中国美術骨董品

中国硯とは?優れた硯を見分けるポイントとともに解説

公開日 2024/07/31

更新日 2024/09/27

断捨離や遺品整理ででてきた硯は、捨てていいものなのかその扱いに困っているという方は多いのではないでしょうか。
書道家から愛好されてきた中国硯は道具としてだけでなく、実は骨董品としての価値をあわせ持つことがあるのです。

この記事では、中国四大硯について、また優れた中国硯の見分け方を解説しています。日本製の和硯との価値の違いも解説しているので、家に眠っている硯の価値をはかる材料として参考にしてみてください。

そもそも中国硯とは

中国硯とは、文字を書くために用いる硯、筆、墨、紙といった文房四宝の一つです。中国で採掘された石で作られており、唐硯とも呼ばれています。
採掘された地域や素材によって色や硬さ、模様が異なり、種類は豊富です。
とくに、端渓硯(たんけいけん)、歙州硯(きょうじゅうけん)、洮河緑石硯(とうがりょくせきけん)、澄泥硯(ちょうでいけん)は中国の四台名硯と呼ばれ、唐の歴史的価値も相まって骨董品としての価値は非常に高くなっています。中には現在では手に入らない希少な素材で作られているものもあります。

また、硯に施された彫刻は美しく、美術的価値も高いため日本でも愛好家が多いです。
愛好家が多いです。

中国の四大名硯

中国硯には多くの種類がありますが、とくに有名なのは四大名硯と呼ばれる4つです。
それぞれの特徴を見てみましょう。

端渓硯(たんけいけん)

中国の広東省で取れた石で作られた硯です。中国硯の多くは端渓硯であることが多く、歴史が古いため骨董品としては有名でしょう。
特徴は鋒鋩という墨をする面にある凹凸が微細で規則正しいため、墨が下りるのもはやいことです。また、石材は柔らかく細かな装飾が施されているものが多く、美術的価値も高いと言われています。
老坑で採掘された石は端渓硯の中でもっとも高級な素材で価値が高いと言われているように、その価値は採掘された場所によって大きく変わります。

歙州硯(きょうじゅうけん)

歙州硯は現在の江西省で採掘された石で作られた硯です。石の材質は堅く、叩くと金属のような高い音が響きます。墨を磨る面がザラザラしているので堅い墨を下ろすのに適していると言われています。割れやすい素材ゆえ、装飾は極めてシンプルなもの、もしくは装飾がないものが多いです。しかし歙州硯はさまざまな石紋がみられ、とくに星空のような金銀がちりばめられた美しい石紋は、芸術的価値も高いとされています。
今では安価で購入できる羅紋硯は、もともと歙州硯の一種です。

洮河緑石硯(とうがりょくせきけん)

北宋中期甘粛省洮県にある、洮河という川の深底から取れた石で作られた硯です。川の氾濫によって採掘していた場所がわからなくなったため、現在では入手できません。
作られていた期間も短く、現存しているものは非常に貴重で幻の硯とも言われています。

澄泥硯(ちょうでいけん)

澄泥という名前の通り、泥を布で濾して澄んだ砂を焼成して作られていたと言われています。澄泥硯は焼成することによりさまざまな色や紋が出るため、見た目に美しい硯です。
澄泥硯は泥に含まれる砂の色によって風合いが異なり、その評価が変わります。
とくに黄色味がかった色合いが美しい鱔魚黄(ぜんぎょこう)は、澄泥硯の中では最高峰いと言われています。また、蝦頭紅(かとうこう)や朱沙(しゅさ)など赤い色が出るものもあり、観賞用としての価値が高い硯としても有名です。
石硯のように石材で作られていたという説もあり、澄泥硯が実際にどのように作られていたのかは、実はまだはっきりとは分かっていません。

優れた硯を見分けるポイント

骨董品として優れた硯を見分けるポイントは、実用性や、作られた年代や場所、使用されている石材の模様です。一つずつ解説していきます。

実用性

現在は高額で取引されることもある硯も、元をたどると墨を磨るための道具です。したがって、実用性があるかどうかは優れた硯を見分ける大きなポイントになります。例えば端渓硯では派手な装飾が施されていたり、形が大きすぎたりするものは、実用にかけるため偽物の可能性もあります。

そのため、道具としての機能性は大前提です。具体的には磨る力が衰えず墨がはやく下がります。筆先を傷めず、良い色で墨の伸びもいいです。それに美術品としての美しさや骨董品としての希少性がプラスされ、質のいい硯と判断されます。
時を経ても耐久性があり、書き心地のよい墨を磨けるかという点が大事です。

生産された年代

素材が採掘された年代も優れた硯を見分ける目安となるでしょう。というのも、生産された年代によって硯に使われていた材質が異なるからです。
中国硯は100年以上に作られたものを古硯と呼び、それ以降に作られたものは新硯と呼びます。
古硯には実用性もさることながら、調度品や観賞用として日本に持ち込まれた歴史もあり美術品としての価値が高いものも多いです。
また、質の良い石材から硯の素材として使われてきたため、現在は上質な石材が枯渇している状況です。現在は採掘不可能な石材もあり、古硯の方が石材としての希少価値も高いことから、生産された年代が優れた硯を見分けるポイントになります。

生産された場所

優れた硯かどうかは、採掘された場所も価値を大きく左右します。
例えば端渓硯は三大名坑と言われる「老杭(水巌)」「坑仔巌」「麻子坑」といった場所で採掘された石材で作られものが、比較的高値で取引されています。これは王朝期に位の高い人が使っていたことから、現在でも価値が高いものという認識が強いためです。
また、見た目は同じように作られていても石材の産地が違えば材質も変わるため、硯の性能に大きな差が生じます。
優れた硯を見分ける際は、生産された場所にも着目してみるとよいでしょう。

石紋

石紋とは、簡単に言うと天然石に見られる模様のことです。
「魚脳凍(ぎょのうとう)」「蕉葉白(しょうようはく)」「青花(せいか)」「天青(てんせい)」「冰紋(ひょうもん)」「火捺(かなつ)」のように、石紋はその様を現した呼び方をされています。
このような美しくめずらしい石紋の多くは、質の良い古硯によくみられます。しかし、まれに新硯にも出現することもあるようです。
もちろん古硯の方が石材としての価値が高いのですが、石紋に関してはその美しくめずらしい模様に対して価値があるため、生産された時代に関係なく価値ある硯として認められます。

唐硯と和硯の違い

日本製の「和硯」、中国製の「唐硯(中国硯)」は、硯の作り自体はさほど変わりませんが、歴史と使われている素材に大きな違いがあります。

まず、日本で石硯が使われるようになったのは室町時代の終わりごろです。それまでは陶器の硯が主流でした。
一方唐硯は、唐の時代にはすでに石硯が広く使われていました。
中国は大陸ということもあり質のよい石が多く採れるため、石硯の種類が豊富です。また、さまざまな石紋が見られ、その模様によって石硯の価値も変わります。

日本において硯は道具としての役割が強いですが、和硯と比較すると唐硯は単なる道具ではなく観賞用としての価値を持つため骨董品としての価値も高いでしょう。

中国硯は生産された年代・地域によって骨董品としての価値あり!

今回はすぐれた中国硯の見分け方を解説しました。
中国四大硯と呼ばれているものは、その材質が評価されます。
そのため、優れた硯を見分けるポイントは生産された場所や年代、模様の特徴などで判断されることが多いでしょう。

硯は文房四宝の中でも唯一、後世に受け継ぐことができるものです。そのため、歴史的な理解を深めることもその価値を知るよい方法と言えるでしょう。

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この記事の監修者

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義村 安悟(よしむら あんご)

《経歴》

美観堂 大阪本店店長 査定歴15年

《コメント》

複数の店舗で店長としての経験を活かし、身の回りのさまざまなジャンルのお品物を丁寧に査定しています。特に古美術品の買取においては、作品の歴史や芸術的価値、作家や時代の背景を考慮して査定を行っており、状態だけでなく市場の動向を踏まえ、公正で適正な価格設定を心がけております。
また、遠方にお住まいのお客様からのご依頼も多い中、出張買取を通じて、さらにお役に立てるよう努めてまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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